社会人1年目、ポルシェを買う。

2016.08.03

第25話:タイヤのいろいろ。5

photo:花村英典 (Hidenori Hanamura)

 
ポルシェ特有の直感性をタイヤが損ねない。
これが(公道をメインで走るひとにとっての)
ポルシェのタイヤ選びの前提条件だということは、
前のページで学んだことである。

 

僕:
直感的に運転できるというのは、
一体感ということに繋がるとおもいます。
そこでふとおもったのですが、
一体感がつよい=スポーティなのでしょうか?

スポーティということばをよく見ますけど、
よくよく考えるとスポーティって何だ? と……。

石井さん:
あくまで僕の意見だけれどスポーティとリニアリティは
ポルシェの場合はおなじだとおもうんだ。

たとえばね、
ハンドルを切った以上にぐいっと曲がることを
スポーティという人もいるとおもうし、
それはそれで正しいも間違いもない。

ただ、何度もいうけどポルシェである以上、
そのナチュラルさを損なわないことがすなわち
スポーティといってもいいとおもうよ。僕はね。

そのへんがよくできていると、まっすぐ走るのもラク。
ちょっと切っても切れないタイヤをつけているクルマは
ハナが動きはじめたあとから修正をしなきゃいけない。
これがいつのまにか疲れる原因になるんだ。

911の場合、
ここから速度があがって200km/h程度になると
今度はフロントが浮いたりしてくるから
そのへんもシビアに見てあげなきゃいけないけど、
こうやって常識的なスピードで走っているかぎり
リニアリティ(=スポーティネス)にかんして、
まったく文句のつけようがないとおもうなぁ。

僕:
ちょっと余談ですけど、カイエンとかパナメーラも
直感的にドライブできるんですか?

石井さん:
あの車格にしては、わりとね。わりと。
ポルシェのひとたちは相当努力したとおもう。

僕:なるほどなるほど。今度乗ってみますね。
あとはPS2の公式サイトを見ているなかで ‘グリップ力’
ということばを、とにかくよく目にしました。

石井さん:そうね。そうだとおもう。
グリップ力に関しては、峠やサーキットを走るのが
いちばん手っ取り早くて、ちょっと今日は時間的に
きびしいけれど、このタイヤがデビューした直後に
テストした際は、かなり粘ってくれたことを覚えてる。

たとえば、今走っているみたいに、ループした道で
アクセルを踏んでいくとするじゃない。

(回転数が高まり、車体前後が外に
ジリジリと動いているのがわかる)

これだけでも粘るタイヤだなぁとおもえるよ。
もっと感心するのは、それでいてウェットの能力が
ちゃんと保たれているところだよね。

僕:非対称パターン!

石井さん:
そうそう、ドライとウェットを両立させるため。

外側のブロックを大きめにすることでドライを、
内側のブロックを小さめにすることでウェットを
きちんと走れるようにしているんだ。

ブロック剛性ということばが使われるけれど、
ブロックが大きいとタイヤがたわみにくく
粘りづよくなるんだよね。
ブロックが小さいとタイヤじたいが柔軟に動くから
雪のコンディションに適応しやすくなるんですね。

僕:
こんにゃくに大きめに切れ目をいれてもゆがみにくい。
ただ、細かく切れ目をいれるとぐにゃぐにゃなります。
それとおなじですよね? だったら切れ目が大きいほうが
いいとおもいます。剛性がたかくよく粘ってくれるなら。

石井さん:
ただ、ブロック・サイズが大きくなると、
ノイズまで大きくなっちゃうんだよ。
その両立こそ、タイヤづくりでむずかしく、
奥深く、そしておもしろいところなんだ。

僕:そのノイズ、PS2はどうなんでしょうか?
 
 
※今回も最後までご覧になってくださり、
 ありがとうございます。
 
 じつはノイズには、3つの種類があるらしい。
 そしてスポーティな音とそうでないのがあるらしい。

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