コラム&エッセイ

2017.03.15

クルマ漬けの毎日から

ケータハム・カーズを訪ねて

Spent a happy day at Caterham Cars

 



ケータハム・カーズ(英国ケント州)を訪ね、CEOのグレアム・マクドナルドに会い、セブンの製造を見学した。ケータハムには前にも訪れたことがあり、昔ながらの製造ラインでのアッセンブリーから “セル” 方式と呼ばれるアッセンブリーへ移行したことで、どれほど品質、効率、それに働く人たちの満足感が向上したかを知りたいと思っていた( “セル” 方式では、ひとりの技術者が1台のクルマを最初から最後まで組み立てる)。

 
だが、なんといっても驚いたのは、CEOのマクドナルドのことだった。彼は十数年前にファイナンス担当のダイレクターとしてケータハムで仕事を始めた。きっと気難しい資金管理者なのだろうと思っていたのだが、まったくそうではなかった。じつのところ、これほど熱心に指揮をとっているトップは、自動車業界全体でもなかなかいないだろう。

 
マクドナルドがケータハムのクルマを愛し、スタッフやここでの仕事を大切にしていることがひしひしと伝わってくる。彼のこうした態度や考え方は会社全体に浸透しており、ケータハムは現在フル稼動している。ビジネスは順調で、さらに大きな目標に向かって前進中だ。

 

 
イングランドのサーキット、ドニントンパークをジョナサン・パーマーが運営することになった。これはいったい何を意味するのか知りたくなったので、パーマーに電話をして今後の計画を直接聞いてみた。パーマーは(優秀なビジネスマンでありながらも)モータースポーツをこよなく愛しており、会話を始めて1分もしないうちに、イーストミッドランドにあるこのサーキットの伝統や素晴らしいレイアウトについて熱く語り始めた。それに彼自身がドライバーとしてF2でドニントンを走り成功した時のことも、懐かしそうに話してくれた。ブランズハッチ、キャドウェルパーク、スネッタートンなどのサーキットで観客動員数を革命的に増加させた時と同じような改革を計画しているという。パーマーが率いるモータースポート・ビジョンは、ドニントンを造った故トム・ウィートクロフトをたたえ、単座レーシングカーが収集されているドニントンのミュージアムも改修する予定だという。

私はどうしても聞いてみたかった次の質問をしてみた。「ドニントンでまたイギリスGPが開催される可能性はありますか?」 パーマーは落ち着いてこの質問に答えてくれた。おそらく、すでに何度か同じ質問を受けたのだろう。「たぶんそうはならないと思います。その可能性がまったくないとまでは言いませんが、既存の設備と資金では実行は不可能だと思います。とは言え、ドニントンは過去にGPを開催したことがありますから、その可能性は追求すべきでしょう」 パーマーという人物の洞察力と熱意からすると、これは十分に前向きな回答だと思った。もしシルバーストンがGP開催契約を解除するようなことがあれば、次に何が起きるのか。答えはみなさんのご想像におまかせしよう。

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)


AUTOCAR 英国版 編集長 スティーブ・クロプリー

オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。新しく独特なものなら何でも好きだが、特に最近はとてつもなくエコノミカルなクルマが好き。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。