フェラーリ488GTB

公開 : 2015.05.14 12:48

パワーユニット

今回、488GTBの最も大きく変更された点がそのパワー・ユニットだ。ついにスモール・フェラーリのフラッグシップも、カルフォルニアTに続きターボチャージ化された。また、このターボチャージャーの追加に伴い、90°V8ドライサンプのDOHCユニットの排気量はダウンサイジング化され3902ccとなっている。

パワーは670ps/8000rpm、トルクは77.5kg-m/3000rpmという値で、これは458イタリアの570ps/9000rpm、55.1kg-m/6000rpmと比較するとパワーで18%、トルクで40%も向上している。また、458スペチアーレの605ps/9000rpm、55.1kg-m/6000rpmと比べてもそれぞれ10%、40%アップしている。やはりターボチャージャー化したことにより、パワーはもちろんのこと特にトルクの向上が著しい。パワーに関してはℓあたり171psとなり、これはフェラーリのプロダクション・モデルで最高の値だ。但し、最高パワーおよび最大トルクの発生回転数は下がってる。

パフォーマンスは、0-100km/h加速が3秒、0-200km/h加速は8.3秒、そしてトップ・スピードは330km/hという値だ。

この新しいターボ・ユニットは、特に燃焼効率を上げることに重きをおいて開発されたという。燃焼室内の流量係数とスワール・モーションの最適化を図ることを目的とした特別な燃焼室形状を採用。その結果、高回転域であっても均質な吸気が可能となった。これに加えて200バールのダイレクト・インジェクションも取り入れられている。さらに、イオン化電流を計測した上で点火のタイミングを制御しアダプティブに失火を予測するイオン・センサーシステムおよびマルチ・スパーク・システムも備える。

加えて、通常のオイル・ポンプと較べて必要な油圧力を30%ほど低減させるとともに、高圧、低圧のどちらでもオイルを供給することができるオイル・ポンプの採用も大きい。

シリンダーヘッドはローラー・フィンガー・フォロアー・タイプを採用し、バルブ・ステムとタペットの抵抗を抑えることで、低回転時のバルブ・トレーンでの機械損失を10%低減している。また、クランクシャフトの構造をフラット・プレーンとしたしたことでコンパクトになり、その結果、回転マスを抑え、流体力学的にも優れたものとなっている。

ターボチャージャーは、ボールベアリングを備えたシャフトにマウントすることによって摩擦を低減している。また、コンプレッサー・ホイールは、TiAl(低比重チタン・アルミ合金)製を採用し、低慣性化を図り、最大限のスプールアップ速度が保たれている。加えて、排気ガスが各シリンダーから独立したスクロールを経由し、エグゾースト・パルスの効率を向上させるツイン・スクロール・テクノロジーはパワー・アップに寄与している。

なお、トランスミッションは、パドル・シフトによる7速デュアル・クラッチのみの設定で、強大なトルクに合わせてギア・レシオは458イタリアから変更になっている。トランスミッションに組み合わせられるバリアブル・トルク・マネジメントは、トランスミッションを経由するトルク量を増加させて加速を最適化するシステム。このソリューションによって488GTBは、サーキット専用車輌に匹敵するギアシフトをロード・モデルで実現させている。ちなみに、1速での静止状態から4速ギアでリミッターが作動するまで要する時間はわずか6秒足らずだという。

シャシー

サスペンションはフロント、リア共にダブル・ウィッシュボーンで、共にスタビライザーが装備される。

今回バージョン・アップしたサイドスリップ・アングル・コントロール・システム2(SSC2)は、正確さを増した上に、介入感を低減させたという。また、パラメータの解析もさらに細分化しているのも特徴。これらの機能によって、コーナー脱出時の加速度を12%向上させているという(マネッティーノの設定をRaceとCT Offにした場合に作動)。また、F1-TracおよびE-Diffと統合したSSC2は、今回アクティブ・ダンパーも制御するようになり、複雑な条件下の走行においても車輌の動的特性をよりフラットで安定したものにする。

488GTBの優れたビークル・ダイナミクスには、SCM3磁性流体ダンパー・システムも大きく貢献しているとう。このダンパー・システムは、ECUを高速化してダンパー内の磁界を変化させるというもの。さらに、フェラーリが特許を持つソフトウェアも車体に設置した3カ所のセンサーを利用する新型を搭載した。ダンパーには、フリクションそのものを低下させるとともに、より効率的な制御が可能になった新ピストン・ロッドを装備する。また、最新のESPにより、グリップの低い状況でのABSの介入もさらに効率的になった。

ブレンボ・エキストリーム・デザインのブレーキ・システムは、フロントが15.7×8.8×1.4インチ、リアが14.2×9.2×1.3インチというサイズで、その制動距離は458イタリアよりも9%短縮している。また、ラ フェラーリから転用されたこの新型ブレーキは、キャリパー、素材も一新されている。

タイヤ・サイズはフロントが245/35ZR20、リアが315/30ZR20で、このサイズは458スペチアーレよりもリアが10mmほど太くなっている。

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