2019年版 ホンダNSXに試乗 発表から3年 ハイブリッド581psはそのまま

公開 : 2019.09.13 09:50

ホンダ製の控えめながら型破りな、第3の選択肢といえるスーパーカー、NSX。細かな調整を各所に受けた2019年モデルが登場しました。NSXらしさは感じられるものの、エキゾチック・ブランドのモデルとは並ぶことはできないとしています。英国で評価しました。

発表から3年目に加えられた改良

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

第2世代の現行NSXの2019年モデルが登場した。われわれも好きなクルマではあるものの、ライバル・スーパーカーの代名詞と呼べるようなモデルとは、互角に戦えないことも理解している。初代NSXのベンチマークでもあった、1990年のフェラーリ348というハードルは高くなかったかもしれないが、30年経ったいま、立ち向かう相手はマクラーレン720Sだ。

初代NSXはスーパーカーというニッチ市場へ大きな一石を投じたクルマだったが、同じことを2代目が行うことは、簡単なことではないのだろう。20万ポンド(2600万円)を切るスーパーカーが備えているのは、優れた利便性と視界、運転のしやすさと路面を問わない完璧な走り。1990年代のレジェンドから受け継がれたことでもあるが、いってしまえばそれだけ。当たり前の内容で、明確な個性が薄いのだ。

ホンダNSX
ホンダNSX

2016年に登場した第2世代のNSXは、ホンダ流の創意工夫と電気モーターとの組み合わせで、ミドシップ・スーパーカーに新しい方程式を持ち込んだ。しかし最終的には、まだダイナミクス性能の追求としては不十分だった、というのがわれわれの意見。

それから3年後、モデルライフとしては中期となるいま、僅かなアップデートを受けた2019モデルイヤー版が登場した。ホンダNSXの秘めていた可能性を引き出せたのかどうか、確認するチャンスだ。しかし使える予算はだいぶ限られていた模様。

主な変更点としては、タイヤが新しいコンチネンタル・コンチスポーツコンタクト6になり、アンチロールバーとトーリンクブッシュ、リアサスペンションのホイールハブなどが新しいものに置き換わった。アダプティブダンパーやパワーステアリング、トランスミッション、4輪駆動システムにも設定変更を受けている。

アピアランス上の変更点は限定的

エクステリアでは鮮やかなボディカラーにオレンジ色が追加され、スタイリング面でも要所要所で変更が加えられた。インテリアでは標準装備が見直されたほか、仕上げ素材の選択肢も増え、その質感も良い。車両価格も高くなってしまったが、2016年以降の英国ポンドの為替変動をみると、致し方ない。

試乗車にも塗られていた新色、サーマルオレンジはパールも混入されており、かなり視覚的にはインパクトがある。だが、NSXのエクステリアデザインの変更点に気付くことができたのなら、わたしより観察力は鋭いといえる。グリル内のトリムが、クロームメッキからボディ同色へと変更され、マットブラックだった部分はグロスブラックになったくらい。全体的なアピアランスとしては3年前と変わらないものの、このクラスではかなりルックスの良いクルマだと思う。

ホンダNSX
ホンダNSX

だが、スーパーカーを所有するドライバーにとって、このエクステリアデザインがホンダというブランドを高めてくれるほどのものではないとも思う。ポルシェフェラーリ、マクラーレン、アウディ、メルセデス-AMGなどなら、見られ方も異なるはず。初代NSXオーナーにとっては、販売台数の少なさという点で、所有する動機にはなるかもしれない。

インテリアは、エクステリアと比べれば、明確にアップデートを受けたといえるだろう。しかしシートの取り付け位置が高く、背の高いドライバーにとって、頭上や膝周りの空間に余裕がないことはそのままだ。20万ポンド(2600万円)近い価格を下げたスーパーカーとしては、大きく弧を描くダッシュボードにはプラスティック製パーツが多過ぎ、安っぽく見える点も変わらない。

インフォテインメント・システムにスマートフォンとのミラーリング機能が追加されたことは歓迎できるし、キャビン内の小物の収容スペースが増えている点もありがたい。カップホルダーはセンターコンソールの後方にあり、助手席のひとの肘周り空間を潰しているけれど。

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