高速・豪華な21世紀のグランドツアラー! ポルシェ・カイエン GTSクーペに試乗 一線を画す運転体験

公開 : 2024.09.20 19:05

ポルシェ史上最も広範囲なアップデートを受けたカイエン 有り余るほどパワフルな4.0L V8ツインターボ 多くの高性能SUVとは一線を画す運転体験 ベストはクーペ 英編集部が評価

ポルシェカイエンのベストはクーペ

スタイリッシュなクーペボディのSUVは、ワゴンボディの兄弟モデルより実用性で劣ることが通例。しかも、価格は高いことが多い。合理的には選びにくい。

しかし、ポルシェ・カイエンをお考えなら別。ダイナミックな運転体験を叶えた、このモデルのベストはクーペだろう。今回試乗したターボE ハイブリッドやGTSなら、通常のカイエンにはない軽量化パッケージを選べるのも魅力だ。

ポルシェ・カイエン GTSクーペ(英国仕様)
ポルシェ・カイエン GTSクーペ(英国仕様)

3代目カイエンは、ポルシェ史上最も広範囲だと主張されるアップデートを受けた。フロントガラスやサスペンションは一新され、パワートレインは強化と高効率化が図られ、ラインナップも変更された。

2026年には、まったく新しいカイエン・エレクトリックが登場予定。それまで、新鮮さを保つことが狙われている。

通常のカイエンとカイエン・クーペは、ハード的には共通。明確に違うのはスタイリングで、全高が20mm低い滑らかなルーフラインを背負う。全長と全幅は、数mm拡大されている。

これにより、見た目の印象にはギュッと締まりがある。BMW X6ほど、個性の強いデザインでもない。ポルシェ・マカンの兄貴分以上といえる、風格を漂わせる。

テールゲートの上部には、ひさしのようなスポイラーが載る。リアガラスの付け根には、90km/h以上で135mm展開される、アクティブスポイラーが仕込まれている。18mm広がったリアアクスルへ、効果的にダウンフォースを加えるという。

テールライトは真一文字。PORSCHEとレタリングされる処理は、最近の流行りだ。

やや狭い車内 全体的な雰囲気は共通

英国仕様のパワートレインは、354psの3.0L V6ガソリンがエントリーユニット。これを主体とするプラグイン・ハイブリッドも2種類ある。4.0L V8には474psと501psの2種類が設けられ、740psのV8プラグイン・ハイブリッドが頂点に据えられる。

共通して、カイエンは電子制御の四輪駆動。サスペンションには、スチールコイルと2バルブのPASMアダプティブダンパーが、多くの標準として組まれる。

ポルシェ・カイエン GTSクーペ(英国仕様)
ポルシェ・カイエン GTSクーペ(英国仕様)

車高調整できるエアサスペンションは、トルクベクタリング機能付きのリアデフ、PTVプラスとともに、GTSとターボ E-ハイブリッドの標準。アクティブ・アンチロールバーと後輪操舵システムも選択できる。

カーボンファイバー製ルーフやスポーツエグゾースト、防音材の省略などが主なメニューの軽量化パッケージは、GTSとターボ E-ハイブリッドのオプション。これには、3種類がある。

ドアを開くと、ワゴンボディより高さ方向がやや狭いことへ気づく。とはいえ、ワイドなモニターが仕込まれたダッシュボードなど、全体的な雰囲気は同じ。助手席側モニターの表示は、特殊な加工で運転席からは見えない。

リアシートは、中央に小物入れとカップホルダーが仕込まれ、標準では2名がけ。ただし、無償オプションで3名がけへ変更は可能。30mm低い座面がルーフラインを相殺し、大人でも快適に座れる。

荷室容量は、通常のカイエンは745Lだが、クーペでは625L。後席を折りたためば、1540Lへ拡大できる。ターボ E-ハイブリッドでは、600Lと1510Lへ若干狭まる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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