フォルクスワーゲンID7 詳細データテスト クラス屈指の広さと快適さ 適度な走り 質感は価格相応

公開 : 2024.04.06 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

ID7には、上々のドライビングポジションと直感的な反応を見せるスロットルペダルが備わっている。そのコンビネーションは、優れたハンドリングを狙うクルマにとっては強固な基礎となる。このビッグなフォルクスワーゲンはさらに、ロングホイールベースによるハイレベルな安定性が加わる。

DCCダンパーにはより自由に動くレンジがあり、カントリーロードでは多少の上下動やガタつきが出るが、なにか余計なことをしなければそれが明らかになることはない。適切なサスペンションのセッティングを選んでおけば、長距離を走れるすばらしく落ち着いた電動サルーンとなる。

ID7にはi4のようなハンドリングも、モデル3のような苦もない速さもないが、どちらも控えめながら引けを取らず、ライバルよりも円熟味を感じさせる。
ID7にはi4のようなハンドリングも、モデル3のような苦もない速さもないが、どちらも控えめながら引けを取らず、ライバルよりも円熟味を感じさせる。    JACK HARRISON

また、長年フォルクスワーゲンが培ってきたような性質は受け継がれている。神経質さがなく、ほとんど緊張することなく、どんな道でも十分以上のスピードで走れる。

それとともに、アジリティもいい感じだ。DCC装着車ではギア比がクイックになるステアリングの再調整されたソフトウェアや、動力のかからないフロントアクスルの動きが、正確さと熱さをいずれも満足させるコーナリングを可能にする。ただし、フィードバックはほとんどない。

ターンインでのグリップは上々で、この手のクルマに求められる後輪駆動らしいコーナリングバランスもかすかながら見せてくれる。旋回姿勢はみごとにフラットだ。ちょっとハードにプッシュすると、スロットルでのアジャストをある程度楽しめるが、ESPが厳格で、介入の仕方はあまり洗練されていない。その点、GTXは改善されているはずだ。

はたして、ID7がピッタリハマるのはどのクラスか。テスラ・モデル3よりはナチュラルだが、あちらにみられるファンなゴーカートフィールはない。ハンドリングはBMWのEVほどではないが、快適性では近いところも見つけられる。つまり、かなり熟成されていて、言うなれば中道だが、そこに思いがけない上品さが宿っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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