フォルクスワーゲンID7 詳細データテスト クラス屈指の広さと快適さ 適度な走り 質感は価格相応

公開 : 2024.04.06 20:25  更新 : 2024.04.20 06:57

結論 ★★★★★★★★★☆

フォルクスワーゲンは歴史的に、大型サルーンではなく、ポロやゴルフのようなハッチバックが屋台骨となってきた。しかし、1種類のEV用モジュラープラットフォームからさまざまなタイプのクルマを作り出せる時代は、世界第2位の自動車メーカーにとって好機となった。

ID7のポジショニングは賢明だ。いっぽうでは、広さや走りの上質さで直接的なライバルを上回り、もういっぽうでは同じようなサイズのプレミアムモデルよりはるかに安い値付けがされている。BYDシールからメルセデスEQEまで、近いカテゴリーのクルマを検討しているユーザーなら、誰もが魅力的に感じるだろう。

結論:フォルクスワーゲンは思いがけないフォーマットで、電動モデルのある種の有り様を見出した。
結論:フォルクスワーゲンは思いがけないフォーマットで、電動モデルのある種の有り様を見出した。    JACK HARRISON

さらに、乗り心地は非常によく、この手のサルーンにふさわしく直感的で楽に操縦できる。昔ながらの主観的な好ましさに欠けるとしても、エルゴノミクスの優秀さやハイレベルな快適性もあって、ほとんどの場合に乗っているのが楽しい。マルチメディアのインターフェイスについても、フォルクスワーゲンは改良を図った。結果、このクラスではもっとも完成度の高いパッケージが出来上がった。
 

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

秋には、このクルマのワゴン版が発売される予定で、個人的にはそちらのほうが魅力的だと感じている。見た目がダルいという声もあるが、パサートワゴンのEV版だと思えばハナから期待しないのではないだろうか。容量が大きいほうのバッテリーとエルゴアクティブシートを備えれば、ツールとしてこの上なく万能なEVとなるはずだ。

マット・ソーンダース

ほかのIDモデルと同じく、7もリアブレーキはドラムだ。バカにする声もあるかもしれないが、回生ブレーキで事足りてしまうから問題ない。とくにドラムブレーキがオーバーヒートするような長い下り坂などは、回生ブレーキがものをいう。

オプション追加のアドバイス

現時点での導入グレードはプロ・マッチのみで、装備は充実している。大柄なボディには20インチホイールを履かせたほうが見栄えはいいが、乗り心地重視なら標準装備の19インチのまま乗りたい。

改善してほしいポイント

・タッチ画面のメニューは改善された。これで音量ダイヤルが付いていればなおいいのだが。
・キャビンのコストカット感は、乗り心地のいい大型セダンに相応しくない。
・静粛性をもっと高めれば、もっと上質感が引き上げられる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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