いすゞエルガがフル・モデルチェンジ

2015.08.19

大型路線バスの代表モデルとして日本全国で活躍するいすゞエルガが、15年ぶりにフル・モデルチェンジされた。いすゞエルガは2000年に登場した本格的なノンステップ大型路線バスで、完成度の高さときめ細かな仕様設定により、各地のバス会社で採用されてきた。ちなみにいすゞは国内の路線バスのマーケットで42%というトップのシェアを誇る。

新型エルガではノンステップ仕様のみという設定で開発され、ノンステップ・エリアを拡大するためにボディ構造は全面的に見直された。長尺仕様ではホイールベースを5800mmから6000mmに延長しているが、使い勝手を考慮し全長は逆に150mm短縮した11130mmとなる。このほかホイールベース5300mmで全長10430mmの標準尺仕様が用意されている。

またホイールベースが延長されたことに対応してタイヤ切れ角が見直され、WB6000mmの長尺仕様で9.3mの最小回転半径を実現した。このほか前後オーバーハングが短縮され、アプローチ/デパーチャ・アングルも増大させたことにより、ノンステップ車ながらワンステップ車並の走行性を獲得している。

新型エルガでは開発に際して次世代ノンステップ・バスの提案を取り入れ、基本構成の変更と共に客室スペースの拡大が大きなテーマとされた。旧型に較べ全高を83mm高めることにより広々とした室内空間を確保し、中扉を後方に配したことによりノンステップ部分が拡大されたのが特徴だ。このほか優先席を前向きに配置し、伝い歩き用手摺を設け、中扉には車椅子乗車用として反転式のスロープを採用するなどバリアフリー・ユニバーサル・デザインが押し進められている。

フルモデルチェンジに際し環境性能と燃費性能を向上させるために、エンジンのダウンサイジングが行われた。旧エルガで使用されていた300PSを発揮する6HK1-TCS型直列6気筒OHC7790ccインタークーラー・ターボ・ユニットから、軽量コンパクトな直列4気筒OHC5193cc直噴ディーゼルに2ステージ・ターボを備える4HK1-TCS型に改められた。既に中型バスのエルガミオで使用されている4HK1-TCH型の発展型となる4HK1-TCS型は5193ccの排気量から250PSをマーク。エンジンも含め車両全体で600kgにも及ぶ軽量化と相まって、平成27年度重量車燃費基準+10%を達成すると共にポスト新長期排気ガス規制に適合し、優れた燃費性能とクリーンな排気ガスを実現した。

軽量コンパクトな直列4気筒ユニットに組み合わせられるギアボックスは、乗務員の疲労と負担を低減させて安全性を向上させるべく、トルコン式のA/T仕様と自動変速マニュアル・トランスミッションのAMT仕様が用意される。このAMT仕様はマニュアル・ギアボックスをベースにフルード・カップリングと湿式多板クラッチを組み合わせた2ペダル自動変速で、フルオートマティックで走行できるのはもちろん、状況に応じてセレクター・レバーを手動で操作して任意に変速することも可能だ。このように新型エルガは2ペダルのAT/AMT仕様のみが用意され、フェラーリの現行モデルのように3ペダルのマニュアル仕様の設定は無い。

新型エルガのWB5300mmでノンステップ都市型中乗りタイプの東京地区希望小売価格はAMT仕様で26,099,280円(税込)、AT仕様が27,157,680円(税込)とスーパーカー並みのプライスタグが付く。8月18日から受注を開始し、目標販売台数は年間600台と発表されている。

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