見るだけで楽しいフォードのコンセプトカー 50選(後編) 「明日」を託されたクルマたち

公開 : 2025.06.14 19:25

おそらく多くの人が見たことも聞いたこともないであろう、フォードの興味深いコンセプトカーを50台紹介します。かつて語られた「夢」を振り返り、革新的で美しい、少々奇抜なデザインの数々を見ていきます。

ギア・フォーカス(1992年)

欧州向けのハッチバック、フォーカスが発売される6年前に登場したギア・フォーカスは、名称こそ同じだが中身はまったく異なるモデルだ。ショートホイールベースのエスコートRSコスワースのプラットフォームをベースにした高性能四輪駆動ロードスターで、最高出力230psのターボチャージャー付き2.0Lエンジンを搭載していた。

デザインの特徴は、古風なものから現代的なものまで多岐にわたる。ボディパネルはカーボンファイバー複合材で作られていたが、ステアリングホイールはレトロなウッドリムだった。

ギア・フォーカス(1992年)
ギア・フォーカス(1992年)

マスタング・マッハIII(1993年)

フォードによると、マッハIIIは「1965年のマスタングの精神を、1990年代以降のスタイリングとテクノロジーで復活させた」モデルだ。最高出力450psのスーパーチャージャー付き4.6LモジュラーV8エンジンを搭載し、ウッドリムのステアリングホイールなど、クラシックなタッチも取り入れていたが、その形状は30年近く前のポニーカーよりもはるかに曲線的だった。

第4世代のマスタングの登場を間近に控えたタイミングだったが、「マッハIIIのスタイリングの特徴は、すぐに認識されるだろう」とフォードは述べていた。確かに若干の類似点はあったが、量産車のデザインはもっとシャープなエッジが特徴だった。

マスタング・マッハIII(1993年)
マスタング・マッハIII(1993年)

ギア・アリオソ(1994年)

同年公開のヴィヴァーチェと同様、アリオソ(Arioso)もモンデオに搭載されていた 2.5Lの24バルブV6エンジンを流用したクーペだ。アリオソは2+2ではなく、ヴィヴァーチェよりも実用的な4シーターであった。

アルミニウム製スペースフレームをベースに、交換が容易な軽量カーボンファイバーパネルを採用。この構造により、サンルーフとリアウィンドウを後部ラゲッジコンパートメントに格納しても、車両の剛性を損なうことがなかったという。

ギア・アリオソ(1994年)
ギア・アリオソ(1994年)

アウトバック・ブロンコ(1994年)

アウトバックは、2年前に発表されたブロンコ・ボスの後継モデルで、ボンネットが非常に似ている。その他、グリルガード、フロントフォグランプ、ウィンチ、サイドマフラー、オーバーフェンダーなどが特徴だった。

2年後、市販のブロンコは生産終了となり、2021年まで復活を待たなければならなくなった。アウトバック・ブロンコは、生産終了記念の特別仕様車として発売される可能性もあったが、実現はしなかった。

アウトバック・ブロンコ(1994年)
アウトバック・ブロンコ(1994年)

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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