アウディR8スパイダー

公開 : 2016.10.12 05:40　　更新 : 2017.05.29 18:13

マグネティック・ダンパーは興味深いオプションだが、ヨーロッパの道を走らせるかぎり、コンベンショナルな組みあわせでも特に困らない。

125kgの車重増加にともないサスペンション・レートも変えてあるとのことで、相対的にソフトな方向に振っているようだ。

マックルズフィールドからモナコへとルーフを開けてドライブしたところ、左右とリアの窓を閉じていれば、ヘア・スタイルも大きく乱れないこともわかった(女性を乗せるのであれば重要だろう)。

開閉がそれぞれ20秒で済むのもよい。

ただし、ふたつの問題も浮かびあがった。ルーフのメカニズム上、180cmを超える大人にとって、リクライニングの幅が小さい。またシートのうしろのラゲッジ・スペースが制限されてしまう。よって荷室は112ℓのフロント・トランクに頼るしかない。

■「買い」か?

たしかにクーペほどシャープでないことは認める。しかし、これがドライバーを決定的に悩ませるほどではない。それよりも、自然吸気のV型10気筒の涅槃(ねはん)を楽しむ最後のチャンスであることを思いだしたほうがいい。「買い」だ。

■日本版編集部の見立て

英国のような悪路での評価はスパイダー・ボディにとっては厳しいかと思ったが、意外や意外、テスターのジョン・ハウエルは、それほど気にならなかったようだ。確かに、ボディ剛性はクーペに比べれば低いが、自然吸気V10エンジンとスパイダーの開放感に高い得点を与えている。特に、スーパーカーでNAのスパイダーは、今となっては貴重な存在だ。