マクラーレン600LT 欧州縦断2200kmのドライブ ブダペスト〜ロンドン

公開 : 2018.11.04 16:10

セナ譲りの軽量装備

われわれは急いでホテルを飛び出し、エリザベス橋-小高い東側のペストと雑然と広がった西側のブダを結ぶドナウ川に架かる橋だ-を渡り、オーストリアへと急ぐ。

午前中のこの時間でも気温は上がり続けている。600LTのコクピットもしかり。このクルマにはエアコンがないのだ。実際、この600LTは本当に軽い。ステレオもナビもついていないのでワイヤーハーネスは軽く、シートも極端にパッドが薄くて軽いカーボンファイバー製だ。

ハイパーカー、セナからの流用である。つまり、この600LTは大陸横断にはおよそ適していないのだ。やられた!AUTOCAR編集部の老獪なあの人がマクラーレンに「何もついていない一番簡素なクルマを!」とお願いしたのは目に見えている。わたしはしばし自分を哀れもうとしたが、この2018年で最もエキサイティングなニューモデルに二日間乗れるなんて、よだれの出そうな話ではある。

やっとの思いでウィーンを抜けると、何マイルにもわたって頑なにまっすぐで完璧に平坦だった多車線のハイウェイは右へ左へとくねり始める。ほどなく緩いカーブが連続するようになり、多少のアップダウンも始まる。離れたところから見ると、淡いブルーの姿は水の色を塗ったようだが、近づいてみるとブルーからグリーンへと変わる。松の木が茂るアルプスの麓へとやってきたのだ。

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