【ゴルフVSフォーカス】8代目ゴルフはベスト・ハッチバックなのか 後編

公開 : 2020.06.25 16:50

8代目へ進化したゴルフ。モニター主体のシンプルなダッシュボードなど変化は少なくありませんが、クラスをリードするハッチバックという立ち位置に動きはあるのでしょうか。ライバル、フォード・フォーカスとの比較試乗です。

タッチモニター式ダッシュボードの完成形の1つ

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォルクスワーゲンは、8代目ゴルフのインフォテインメント・システム用モニターの下に、エアコンの温度調整ができるタッチセンサーをレイアウトした。左右にスワイプするだけで、温度を変えられる。同様に、オーディオのボリュームも変更が可能だ。

機能と場所が決まっているから、覚えてしまえば前方から目を離さずに、ブラインドタッチも可能だろう。運転中でも、腕を伸ばせば届くところにあるのも良い。

 フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 TSI 130(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 TSI 130(英国仕様)

バージョン2.0と呼べるゴルフのインテリアは、とても扱いやすい。シンプルで操作しやすい、タッチモニター式ダッシュボード・デザインの1つの完成形といえそうだ。

ゴルフに数日間乗っていると、今までの車内にはなぜこんなに多くのスイッチやノブが必要だったのか、疑問に感じるほど。スイッチは小さいし、隙間にホコリも溜まりやすい。

フォーカスの車内は、ゴルフと比べても大きな知覚品質の差はない。ゴルフの方が上質な素材をより上手に用い、安価なプラスティックは艶を消すことで目立たなくしている程度の違いだ。

フォーカスのセンターコンソールに左膝を当てると、少し変形し、きしむ音がする。ゴルフは違う。組み立て品質の違いは、これが物語っていると思う。

さて、エンジンを見てみよう。20年前、130psくらいを生み出すには、自然吸気なら1.8Lか2.0Lのガソリンエンジンが必要だった。いまゴルフに搭載されているのは、1.5Lの4気筒ターボで、フォーカスの場合は1.0Lの3気筒ターボユニット。

VWとフォードのエンジンが持つ個性

どちらも高い技術で開発された、素晴らしい仕事をするユニットだ。フォーカスのエコブースト・エンジンは、低負荷時には2気筒として動く。その結果、英国では一般的な80km/hから128km/hくらいの巡航走行では、19.5km/Lくらいまで燃費が伸びる。

ゴルフのエンジンは、低負荷時に2気筒を休止でき、ミラーサイクルで高効率を狙っている。ボディは空力的にも練られ、同じ速度域で21.2km/Lを超える燃費を実現している。

フォード・フォーカス 1.0エコブースト125チタニウムX(英国仕様)
フォード・フォーカス 1.0エコブースト125チタニウムX(英国仕様)

10年ほど前まではゴルフもフォーカスも、倹約的なディーゼルエンジンですら、この燃費の達成には苦労していた。技術の進化は、止めることができないのだ。

どちらのエンジンも、トルクが太く運転しやすい。常用する中回転域でより力強いのは、ゴルフの方。巡航走行時の質感も良く、機械的な洗練度を感じさせる。

フォーカスはややトルクが低く、ゴルフと比べると高いギアは選びにくい。しかし、100km/h前後の速度域での回転フィーリングは、フォーカスの方が魅力的だった。

改良を受けたゴルフをもってしても太刀打ちできない、世界最高水準のシャシーであることにも変わりなかった。これこそ、機敏な走りを求めるドライバーに選ばれる、フォーカス最大の強みだろう。

ゴルフの乗り心地は、従来のモデルより明らかに硬さを増している。優れた垂直方向のボディ制御を備え、カーブの連続する郊外の道で速度を上げても、だらしなさが顔を出すこともない。

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