Mk8.5へ進化! フォルクスワーゲン・ゴルフへ試乗 ステアに「ボタン」復活 マルチな実力を底上げ

公開 : 2024.07.07 19:05

8代目ゴルフがマイナーチェンジ ドイツの製造品質が表れたスタイリング ステアリングにハードボタンが復活し操作性向上 新エンジンで洗練された1.5TSI 鋭く正確な操舵感 英編集部が評価

ドイツの高い製造品質が表れた容姿

自動車業界で、謙虚に成功を積み重ねてきたモデルの1台といえるのが、フォルクスワーゲン・ゴルフ。欧州では、圧倒的な販売数を誇ってきた。かつては15年連続で、この市場での最多販売モデルに君臨していたほど。

8代目の発表は2019年で、基礎骨格はMQBプラットフォーム。ファミリー・ハッチバックのアイコンでありつつ、歴代で最も大胆に再定義へ挑んだ内容といえた。

フォルクスワーゲン・ゴルフ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ(欧州仕様)

ハイブリッド・エンジンに、デジタル化されシンプルな内装、洗練された乗り心地と操縦性、高度な運転支援システムが、現代的で上品なスタイリングに包まれていた。

そんな8代目もモデルライフの半分が過ぎ、フェイスリフトの時が来た。バッテリーEVへ注力する同社だが、内燃エンジンで走るゴルフも大切な存在なのだ。

小改良後の英国仕様では、115psか150psの1.5Lと、203psの2.0Lという、4気筒ガソリンターボをラインナップ。GTIも2.0L 4気筒だが、20ps増しの265psを獲得しつつ、MTが選択肢から省かれた。

スタイリングは、ボンネットのプレスラインが際立った。シャープになったヘッドライトは、光源が標準でLEDに。フロントバンパーやVWのロゴ、テールライトの点灯パターンなども一新。アルミホイールのデザインは、5種類が追加されている。

ライバル以上に、先進的な容姿というわけではない。しかし、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が描き出した初代に通じる要素が、巧みに散りばめられている。上品で不快な印象は残さない。ドイツの高い製造品質が、カタチに表れたようだ。

ステアリングにハードボタン復活 反応も良し

サスペンションは、150ps以下のグレードでリアがトーションビーム式になるが、それ以外は前後とも独立懸架式。ダンパーは若干引き締められ、サブフレームとリンク、ブッシュ類も改良を受けた。

オプションのアダプティブダンパーは、状況に応じて減衰力が変化し、乗り心地や姿勢制御を改善。左右個別に硬さを変えることで、敏捷性も高められる。トルクベクタリング・システムも、このダンパーと協調して機能する。

フォルクスワーゲン・ゴルフ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ(欧州仕様)

ステアリングラックは、上位グレードで可変レシオが組まれる。今回の小改良で、固定レシオも若干クイックになった。

車内を見ていくと、ステアリングコラムとシートの調整域が広く、ベストな運転姿勢を探しやすい長所は変わらず。空間の広さはクラス最大ではないが、競争力は高い。低コストを感じるプラスティック製部品が点在するとはいえ、知覚品質も優れる。

ダッシュボードなどのデザインは、改良前と変わらず。批判を受け、ステアリングホイールからはタッチセンサーが消え、実際に押せるハードボタンが復活している。

インフォテインメント用タッチモニターは、標準が10.4インチ、オプションは12.9インチと、従来から約2インチ拡大。メーター用モニターは10.4インチで、同社最新のMIB4システムが稼働する。

ソフトの反応は素早く、メニュー構造も新しい。高解像度化され、位置も若干変わり、晴天でも見やすくなった。音量や温度の調整を担うタッチセンサーは、イルミネーションを獲得。これも反応が良くなった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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