欧州新車販売 1位はプジョー208 王者ゴルフは5位へ転落… 2022年

公開 : 2023.02.09 06:05

2022年の欧州新車販売台数において、プジョー208が20万6816台で首位に立ちました。2007年以来、欧州のベストセラーとなっていたフォルクスワーゲン・ゴルフは半導体不足などが原因で5位となりました。

フランスの小型ハッチバックが欧州ベストセラーに

2022年の欧州新車販売台数で、プジョー208が2007年以来トップの座を守ってきたフォルクスワーゲン・ゴルフを抜いて1位となった。前年比5%増の20万6816台を販売し、ゴルフの17万7203台に3万台近い差をつけた。

調査会社ジェイトー・ダイナミクス(以下、ジェイトー)の発表によると、2022年はEU加盟27か国に英国、ノルウェー、スイス、アイスランドを加えた欧州市場で、合計1130万台の新車が販売されたという。これは1985年以来の最低水準であり、パンデミック前の2019年と比較すると29%減少している。

プジョー208は、長年の王者フォルクスワーゲン・ゴルフを破って首位に立った。
プジョー208は、長年の王者フォルクスワーゲン・ゴルフを破って首位に立った。

ジェイトーはこの落ち込みについて、新車の生産不足(半導体供給危機が一因)に加え、ロシアのウクライナ侵攻で激化したインフレとエネルギー価格の高騰が要因だと分析している。

生産台数の伸び悩みが目立ったメーカーの1つがフォルクスワーゲンである。世界販売台数は456万台で、前年比6.8%減となった。半導体不足は2023年の販売にも打撃を与えると、フォルクスワーゲンは警戒感を示している。現在、フォルクスワーゲンは「非常に大きい」受注残を抱えており、そのためゴルフは欧州1位から5位に転落した。

ジェイトーはまた、SUVの販売が好調だったと述べている。BセグメントSUVのフォルクスワーゲンTロックは18万1153台(前年比3%増)で3位、ヒョンデ・ツーソンは15万803台(前年比1%増)で8位、ダチア・ダスターは14万9648台で前年15位から9位に上昇した。

これは「SUVへの欲求が高まっている」ことを反映したものだとジェイトーは言う。しかし、従来のボディスタイルに比べてSUVの収益性が高まっていることを背景に、各メーカーがSUVの生産を優先したことで販売台数が増加したというのも事実である。

小型で低価格のモデルにも明確な需要が残っている。2022年のベストセラー車トップ10のうち8車種がBセグメントで、うち6車種がハッチバックであった。

最も販売台数が多かったのは上記の通りプジョー208で、次いでダチア・サンデロの20万500台である。

フィアット500アバルトも含む)は前年比3%増の約18万台を記録したほか、トヨタヤリスオペル/ヴォグゾールコルサ、ダチア・ダスターも高水準の販売台数を維持している。

特筆すべきは、ルノー・クリオの販売台数が前年比27%減少したことである。2021年の4位から昨年10位に転落したが、これは半導体部品をグループ傘下の収益性の高いダチアのモデルに流用した結果だと思われる。

AUTOCAR英国編集部は以前、ダチアがルノーの実績ある部品を再利用することで研究開発費を最小限に抑えているため、ルノー・グループの収益安定化の助けになっていると報じた。つまり、ルノー・グループにとってのダチアのマージンは、フォルクスワーゲン・グループにとってのアウディのようなもので、どちらの生産を優先すべきかは明らかである。

また、2022年も中国ブランド(特にMG)が大きく躍進した。ジーリー・グループ(ボルボポールスター、Lynk&Co)を除くと、中国ブランドの新車販売台数は、前年の6万6100台から15万2400台とほぼ3倍に増加した。

このうち、11万400台がMGで、前年比116%を記録してホンダの販売台数を上回った。ジェイトーによると、中国ブランドを合わせると、マツダスズキジャガーランドローバーを上回ったという。

一方、ステランティスの市場シェアは20.23%から18.22%に低下し、全メーカーの中で最も急激な下降を見せた。傘下のプジョーシトロエンフィアット、オペル/ヴォグゾールの各ブランドは、いずれも2021年比で販売台数が2桁の減少率を記録した。ステランティスは生産不足だけでなく、物流問題も抱えており、特に11月の販売で「悲惨」な結果を残して注目を集めた。

以下、2022年に欧州で最も売れた10車種を紹介する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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