【異例づくめの会見】トヨタの業績、なぜ急激に回復したのか コロナに負けぬ理由は 対テスラ対策も

公開 : 2020.11.08 05:50  更新 : 2020.11.08 11:23

予断を許さないが回復基調継続目指す

下期(2020年10月~2021年4月)についても、事業の回復は順調に進むと見る。

販売台数は、通期で860万台、営業利益は1兆3000億円を見込む。

5月に掲げた基準と比べて、台数では60万台増、営業利益は上期で達成しおりさらに1兆円超えを目指す。

経済が活発化している中国を筆頭に、北米でもインセンティブ(販売奨励金)の適正化などによって、今後も日本を含めて各市場が着実に回復すると見る。

背景には、少し前まで他社に対する出遅れ感があったSUV市場で「RAV4」や「ハリアー」などのヒット作があり、さらに「ヤリス・クロス」が続くなど、途切れない新車効果がある。

ただし、今後の新型コロナウイルス感染拡大の影響を注視する姿勢は変わらず、経営環境が大きく変動する可能性も踏まえて、営業収益と営業利益については5月時点の見通しを変えていない。

こうした決算上の数字の話に加えて、中間決算説明会の後半におこなわれた質疑応答では、豊田社長の「本音トーク」が繰り広げられた。

質問者からは、事業そのものに対する枠を超え、豊田社長の経営哲学などについても話が及んだが、様々な質問に対して豊田社長は創業家一族の1人として「私事」としてトヨタについて語った。

豊田社長テスラとウーブンシティ語る

テスラついても、豊田社長は語った。

「テスラの時価総額40兆円は、トヨタと日系7社の合計より大きい」という事実を直視していることを明らかにした。

未来型都市計画の「ウーブンシティ」
未来型都市計画の「ウーブンシティ」    トヨタ

また、「キッチンとシェフ」という例え話を持ち出して、トヨタはキッチンとシェフというリアル世界があるが、(現状での)テスラは料理のレシピを主体としているイメージだという。

その上で、テスラに対するトヨタの強みは1億台超の保有台数という「リアルな世界」だと強調した。

トヨタとしては、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)について過去3年間で積極的な先行投資をおこない、TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)等を通じて、ソフトウエア・ファースト(重視)の体制を敷いていることを改めて説明した。

もう1点、未来型都市計画の「ウーブンシティ」についても詳細を明らかにした。

施工の鍬入れ式は、2021年2月23日(富士山のゴロ合わせ)。敷地内は150mx150m区画で考慮。地上に自動運転、歩行者、歩行者・小型モビリティ混走の三車線に加えて、地下にも通行路。住民は360人で、高齢者、子育て世代、また発明家で構成する。

また、トヨタのフィロソフィー(哲学)について、「幸せの量産」という定義も示した。

今後のトヨタの動き、さらに注目していきたい。

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像