力強く静かなハイブリッド・モード

Fペイス P400eのシステム総合での最高出力は403ps、最大トルクは65.1kg-mもある。0-100km/h加速は5.3秒と充分速い。

電気モーターから4気筒インジニウム・ユニットへの移行はシームレスで、注意していなければ切り替わりがわからないほど。4気筒ながら、回転域を高めてもがさつな質感になることもない。

エンジンノイズは車内でほぼ聞こえず、感心するほど。ただし、もう少しロードノイズは低減しても良かった。パワートレインが静かなだけに、余計目立ってしまう印象だった。

ハイブリッド・モードは非常に力強い。郊外の道での追い越しや、高速道路の追い越し車線も余裕しゃくしゃく。

ちなみにEVモードでは112km/hまでカバーするが、電気モーターだけで走りたい場合、加速は穏やかにする必要がある。アクセルペダルの操作次第では、ハイブリッド・モードに切り替わるためだ。

試乗車が履いていたのは21インチという大きなホイールだったが、やや鋭い隆起部分がある路面でも、落ち着きを失うことはなかった。ホイールの上下動で発生するサスペンションノイズも最小限。とても穏やかな乗り心地を実現している。

Fペイス P400eのボディがソワソワする場面は、波長の長いうねりがあるような区間。斜めに侵入するような場面では、揺れが大きく感じられる。サスペンションは引き締められた印象なだけに、少し不思議な振る舞いに思えた。

PHEVのSUVで優位性のあるFペイス

ステアリングはダイレクトで、サスペンションと呼吸を合わせるようなコーナリング時の姿勢制御も素晴らしい。コーナーの連続する区間をハイペースで駆け抜けるのも朝飯前。フロントノーズがシャープに切れ込んでいく感覚が気持ちいい。

環境に優しいSUVには期待しないような、ハンドリングといえるだろう。

ジャガーは、このクラスで優位なモデルにFペイスを仕立てることに成功している。販売台数ではドイツ勢に並ぶことはできないかもしれないが、十二分に対抗できる内容を備えている。

大きく質感を挙げたインテリアは特筆すべき点。ジャガーに不足していた部分でもあった。

電動化が急速に進む自動車業界において、PHEVが追加されたFペイスなら今後数年間は生き残れるはず。英国価格は5万8975ポンド（884万円）から。安くはないが、選択肢としての訴求力はある。

ジャガーFペイス P400e PHEV SE（欧州仕様）のスペック

価格：5万8975ポンド（884万円）
全長：4747mm
全幅：1936mm
全高：1664mm
最高速度：239km/h
0-100km/h加速：5.3秒
燃費：46.0km/L
EVモード航続距離：53km
CO2排出量：49g/km
車両重量：−
パワートレイン：直列4気筒1997ccターボチャージャー＋AC同期モーター
使用燃料：ガソリン
バッテリー：17.1kWh
最高出力：403ps/5500rpm（システム総合）
最大トルク：65.1kg-m（システム総合）
ギアボックス：8速オートマティック

画像　ジャガーFペイス　競合するPHEVの中型SUVと比較　全107枚