走り　★★★★★★★☆☆☆

このC4くらいコンパクトなクルマに、往年の大型シトロエンのようなリラックスしてゆったり走るキャラクターを期待することはないだろう。だが、中位機種エンジンの1.2Lガソリンユニット搭載車でさえ、それらしきものは見出せる。

8速ATはややワイドレシオ気味で、加速やレスポンスより、巡航燃費や洗練された走りに振られたギア比設定といった印象。それでも、23.4kg－mという最大トルクのおかげで、まずまずの走りっぷりをみせる。同じ価格帯でこれより明らかに速いハッチバックもあるが、C4が遅く感じることはない。

ただし、エコモードではエンジンレスポンスが大幅に鈍り、シフトダウンをかなり嫌い、逆にシフトアップをしたがるので、運転を楽しみたいなら選ばないほうがいい。長距離を穏やかにクルージングし、燃費性能のポテンシャルを限界まで引き出してみようというのでもなければ、使い道はなさそうだ。

今回のテストでは、113km/h巡航での燃費計測時にエコモードを選んだ。英国の高速道路では一般的な制限速度でのツーリングということになるが、結果は20.0km/Lと立派なものだった。とはいえ、その代償としてドライバビリティが損なわれるので、これを日常的に使いたいと考えるドライバーは少ないはずだ。

ノーマルとスポーツの各モードでは、はるかに直感的なシフトチェンジをする。スロットルペダルを床まで踏んでもキックダウンスイッチはなく、最近ヴォグゾール・モッカに試乗して気付いたのだが、ギアをマニュアルで選んで、最大負荷をかけた際にそのギアを確実にホールドする手段がないので、ちょっといらだたしく思うときもある。

幸いにも、多少パワーを加えても変速が頻繁になりすぎることはない。シフトはややゆったり気味で、常に期待したほどスムースではないが、十分にテキパキとギアを替えてくれる。

そして、小排気量のピュアテックことガソリンターボエンジンは、他のクルマに積まれているものと同様に、熱心ながら馴染みやすい働きぶり。コールドスタート時やハードに回したときはややしつけのよくないところもみせるが、クルージング時にはなかなか落ち着いている。

画像　シトロエンC4とライバル　全14枚