ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリックへ試乗 クラスベストの予感 前編

公開 : 2021.11.17 08:25

ルノーのファミリー・ハッチバックにクロスオーバーの純EV版が間もなく登場。試作車に英国編集部が試乗しました。

純EVでクロスオーバーのメガーヌ

執筆:Vicky Parrott(ヴィッキー・パロット)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
純EVをお考えの方へ、新しい有力な選択肢がルノーから登場する。開発完了間際の状態ながら、今回試乗させていただいたクロスオーバー、メガーヌ Eテック・エレクトリックがそれ。

ルノー・メガーヌといえば、フランス生まれの由緒あるファミリー・ハッチバックの1台。今後数年間、メガーヌのPHEV版も並行して選べるが、こちらの場合はエンジンとガソリンタンクではなく、駆動用モーターとバッテリーが積まれている。

ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック(欧州仕様)
ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック(欧州仕様)

単にドライブトレインを入れ替えただけではない。クロスオーバー化され、ウエストラインが高められた。レンジローバー・イヴォーク風に。シャープなヘッドライトの中央に、新しくなったルノーのロゴがあしらわれる。かなりスポーティに見えると思う。

このスタイリングは、本来ならメガーヌ Eテック・エレクトリックの高性能仕様へ与えられるものだったらしい。ルノーでデザインを取り仕切る、ローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏は次のように話している。

「誰もがこのデザインを評価していたので、標準モデルのスタイリングとして採用しました」。上級グレードでエッジの効いた20インチのホイールが標準装備されることも、その一端を示すものだろう。

この純EVがベースとするのは、電動パワートレインに最適化された、CMF-EVと呼ばれる最新のプラットフォーム。この構造を採用した初めての量産モデルとなり、ルノーの期待はいつも以上に大きい。

クラスで最も楽しいモデルになる可能性

メガーヌ Eテック・エレクトリックは、実容量が40kWhか60kWhの駆動用バッテリーを搭載する前輪駆動。WLTP値での航続距離は、300kmか470kmがうたわれる。

急速充電は、直流のDCで最大130kWまで対応。残量10%から80%まで、最短30分で充電できるという。40kWhのバッテリーの方が、許容する充電容量は小さくなると思われる。交流のACでは、共通して22kWまで対応する。

ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック(欧州仕様)
ルノー・メガーヌ Eテック・エレクトリック(欧州仕様)

このメガーヌ Eテック・エレクトリックのメディア発表時、ルノーは「このクラスにおけるGTI」という表現を用いていた。身内のルノー・スポールではなく。引き合いに出されたフォルクスワーゲンは、うれしく感じないと思うけれど。

60kWhのバッテリーを積んだ試乗車を運転した感想として、真のホットハッチと呼ぶのは誇張気味かもしれない。だが、3万ポンド(465万円)から4万ポンド(620万円)の価格帯で選べる純EVのファミリーカーで、最も楽しいモデルになる可能性は高そうだ。

ドライブモードでスポーツを選ぶと、ステアリングホイールの操舵感は重みを増す。それでも、反応はクイックで軽快。フロントタイヤは、喜んでコーナーに飛び込んでいこうとする。

トラクションも感心するほど高く、右足で踏むアクセルペダルに対する反応も迅速。パワーの掛け具合で、直感的にコーナリングラインを調整していける。フィーリングはかなり良い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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