ジャガーXK140/フォード・サンダーバード 英米の2シーター・コンバーチブル 後編

公開 : 2021.12.11 07:07  更新 : 2021.12.20 11:27

同時期に誕生した、ラグジュアリーな2シーター。まったく異なる見た目に秘めた共通性へ、英国編集部が迫りました。

速度域が高まるほど安定性が際立つ

今回ご登場願った1955年式の初代フォード・サンダーバードには、珍しい3速MTが載っている。ATより遥かに素晴らしいクルマに感じさせてくれるトランスミッションだ。

クラッチペダルは軽くつなぎやすく、シフトレバーは短く変速しやすい。手応えは重めで、メカニカルな印象が強い。

ターコイズブルーの初代フォード・サンダーバードと、レッドのジャガーXK140 SE オープン2シーター・ロードスター
ターコイズブルーの初代フォード・サンダーバードと、レッドのジャガーXK140 SE オープン2シーター・ロードスター

とはいえ、4.8L V8エンジンの図太いトルクがあるから、走り出してしまえば殆ど変速は必要ない。ボルグワーナー社製のオーバードライブが付き、2速と3速で入ると、エンジンの回転数が30%ほど落ちる。走行するスピードに応じて、自動で切り替わるようだ。

オーバードライブを解除するには、アクセルペダルを踏み込んでキックダウンを誘うだけ。あるいは、ダッシュボードのオーバードライブ・レバーを押せば良い。

静止状態からの加速力では、2台ともに拮抗している。実際、0-97km/h加速の時間を見ても、サンダーバードが8.8秒、ジャガーXK140が8.5秒で、ほぼ並んでいる。

速度域が高まるほど、XK140の安定性が際立ってくる。ステアリングにもブレーキにも、しっかりした手応えがある。

サンダーバードは違う。ステアリングホイールを回してもほとんど抵抗を感じず、見た目以上にゆったりと反応する。パワーアシストというより、ほぼ機械の力でフロントタイヤの向きが変わっているようだ。ステアリングラックのレシオもかなり低い。

よりパーソナルなドライビング体験

走り出したサンダーバードは、想像以上に直進状態を保つことに忙しい。ブレーキペダルを強く踏み込んでも、また怖い。ブーストが効いているようだが、ドラムが充分な制動力を生むことはない。

とはいえ、英国のコーナーが続く一般道でも、安定したラインを保持はできる。ボディロールは乗っている時より、見ている時の方が大きく感じられる。ただし、限界領域は高くない。穏やかな気持ちで、駆け足程度のペースで走るべきクルマだ。

ジャガーXK140 SE オープン2シーター・ロードスター(OTS/1954〜1957年/北米仕様)
ジャガーXK140 SE オープン2シーター・ロードスター(OTS/1954〜1957年/北米仕様)

サンダーバードを楽しみたいなら、ドライビング体験の仔細には気を配らない方が良いだろう。ヤシの木が並ぶカリフォルニアの広い道を、のんびり友人や恋人と流すためのコンバーチブルだ。ロードサイドの、ドライブイン・シアターを目指して。

反して2シーター・ロードスターのXK140は、よりパーソナルなドライビング体験のためのクルマ。アンダーステア気味ながら、狙った通りのラインを縫える。アクセルペダルの角度とトランスミッションの段数、ステアリングホイールの角度で、意図したままに。

発売から70年近くが経つジャガーで、速めのペースを保ちながら英国郊外の道を駆ける喜び。ビンテージカーの艶っぽい個性を、本能的に楽しみたいと思わせてくれる。同時期にアメリカで生まれたサンダーバードとは、まったく対照的な味わいだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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