ジャガーXK140/フォード・サンダーバード 英米の2シーター・コンバーチブル 後編

公開 : 2021.12.11 07:07  更新 : 2021.12.20 11:27

運転すれば自ずと笑顔になってしまう

1955年式でありながら、サンダーバードはパワーアシストのステアリングホイールやベンチシートを備え、現代技術での省力化を実現させていた。それでいて、戦後の裕福な時代のアメリカ車として、最もスポーティなモデルでもあった。

シボレーよりフォードの判断が正しかったことを、初代コルベットを超える販売台数でサンダーバードは証明した。ところが1960年代に向けてアメリカ車は大型化し、派手さも増していった。わずか3年で、サンダーバードは2代目へと交代してしまう。

フォード・サンダーバード(1955〜1957年/北米仕様)
フォード・サンダーバード(1955〜1957年/北米仕様)

結果として、1955年から1957年にかけて作られた初代は、多くのマニアの注目を集めるモデルとなった。アメリカ車のクラシックカー・コレクターにとっては、羨望の的になっている。

取引価格は、それほど高騰していないようだ。2シーター・ロードスタージャガーXK140やその後のマッスルカーと比べても、だいぶ現実的な範囲にはある。後期モデルの値動きは、上昇傾向にあるようだけれど。

伝統的な英国製スポーツカーを愛するドライバーが耐えてきたような痩せ我慢を、快適さと贅沢さで解決したフォード。時代のドリームカーとして、アメリカンなスタイリングに包み込んで。

初代フォード・サンダーバードを嫌うことは難しい。思わず険しい顔付きになりがちな昨今、運転すれば自ずと笑顔になってしまう。クラシックカーの個性として、まったく悪いものではない。

サンダーバードとXK140 2台のスペック

フォード・サンダーバード(1955〜1957年/北米仕様)のスペック

英国価格:2692ドル(新車時)/7万ポンド(約1087万円)以下(現在)
生産台数:1万6155台
全長:4455mm
全幅:1784mm
全高:1308mm
最高速度:185km/h
0-97km/h加速:8.8秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1575kg
パワートレイン:V型8気筒4785cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:195ps/4400rpm
最大トルク:38.6kg-m/2600rpm
ギアボックス:3速マニュアル+オーバードライブ

ジャガーXK140 SE オープン2シーター・ロードスター(OTS/1954〜1957年/北米仕様)のスペック

英国価格:1127ポンド(新車時)/13万ポンド(約2002万円)以下(現在)
生産台数:3354台
全長:4470mm
全幅:1640mm
全高:1395mm
最高速度:194km/h
0-97km/h加速:8.5秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1420kg
パワートレイン:直列6気筒3442cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:213ps/5750rpm
最大トルク:29.3kg-m/4000rpm
ギアボックス:4速マニュアル+オーバードライブ

ターコイズブルーの初代フォード・サンダーバードと、レッドのジャガーXK140 SE オープン2シーター・ロードスター
ターコイズブルーの初代フォード・サンダーバードと、レッドのジャガーXK140 SE オープン2シーター・ロードスター

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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