新型トヨタ・ノア/ヴォクシー 5ナンバー消滅 3ナンバー化のみになった本当の理由

公開 : 2022.01.20 18:45

新型トヨタ・ノア/ヴォクシーから5ナンバー車が消滅しました。背景をトヨタの開発者に聞きました。

ノア/ヴォクシー 5ナンバー消滅

あれ? そうきたか。

新型のトヨタ・ノアのスペックを見て驚いたのは、エアロ仕様だけでなく標準グレードも3ナンバー化されたことだ。

新型トヨタ・ノア
新型トヨタ・ノア    トヨタ

全長は4695mmと先代同様だが、全幅が1730mmとなり5ナンバー枠をはみ出している。

つまり、ボディそのものが3ナンバーサイズで作られているのだ。

ノアとヴォクシーは、先代はもちろん、先々代の時代から「標準ボディが5ナンバー、エアロ仕様はバンパーなどを大型化することで3ナンバー」という作り分けがおこなわれてきた。

これはトヨタに限らず、日産セレナホンダステップワゴンも同様。このクラスは、車体を5ナンバー枠で作るのが常識だったのだ。

新型ノア、そしてヴォクシー(新型では非エアロ車が存在しないが)はその常識を打ち破ったのである。

車体サイズは標準車もエアロ仕様も全長4695mm、全幅1730mmで統一。これは先代モデルに比べると、全長は同じ、全幅は標準車でプラス35mm、エアロ仕様ではマイナス5mmとなっている。

言い換えれば、新型は先代のエアロ仕様とほぼ同じサイズということになる。

ちなみに先代はエアロ仕様だけが膨らみの大きなフロントフェンダーを備えていた。

いっぽうで新型では全車ともワイドタイプのフロントフェンダーとなり、さらにリヤフェンダーの張り出しも左右で35mm増して側面の抑揚が増している。

しかし、全幅拡大のメリットはそれだけではない。

ほかにもあった全幅拡大のメリット

「車幅の拡大は世界的な傾向で、その理由は2つあります。1つは側面衝突への対応。もう1つは大きなタイヤを履くためです」

「SUVだとコンパクトクラスでも3ナンバーが多いのは、後者の理由が大きいですね」

新型ノア/ヴォクシーでは天井付近の室内幅が70mm増しているが、これも車体設計を3ナンバーとした賜物なのだ。
新型ノア/ヴォクシーでは天井付近の室内幅が70mm増しているが、これも車体設計を3ナンバーとした賜物なのだ。    トヨタ

開発責任者を務めた水澗英紀氏はそう説明する。

大きなタイヤをフェンダーに収め、しっかりハンドルを切れるようにするためにはホイールハウス拡大が避けられず、そのために全幅を広げざるを得ないのだ。

そしてノア/ヴォクシーでいえば従来は最大16インチだったのが、新型では17インチまで履けるようになっている。

さらに、居住性も増している。

新型では天井付近の室内幅が70mm増しているが、これも車体設計を3ナンバーとした賜物なのだ。

なぜなら、物理的には可能かもしれないが、天井の幅を広げると車体側面がほぼ垂直になるから、5ナンバーの幅だと箱のような見た目を避けられず、デザインが成立しなくなる(バンのようになる)からだ。

「もちろん、いたずらに大きくすればいいとは思っていません。しかし先代でも販売は約8割が3ナンバーボディのエアロ仕様でした」

「そこで新型は、それと同等サイズならお客様には納得していただけると考えたのです」

「5ナンバーを望まれる理由としては『制約』(自宅駐車場の広さなど)と『こだわり』にわかれると思いますが、もし後者であれば視界の広さなどで運転しやすさを追求することでご納得いただけるようなクルマを作りました」(水澗氏)

記事に関わった人々

  • 執筆

    工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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