いろんな意味で「尖った」クルマ ウェッジシェイプの名車・迷車 19選 

公開 : 2022.02.12 18:05

車体の空気抵抗を減らすべく考案されたウェッジシェイプ。印象に残る名車とともに、奇抜な失敗作も紹介します。

心に刺さるシャープなクルマ

自動車デザインにおける流派の1つがウェッジシェイプだ。中には奇抜なものもあるが、傑出したモデルを数多く生み出したのは確かで、その要素は現代のクルマにも活かされている。

ここでは、ウェッジデザインの傑作と失敗作を、アルファベット順に紹介しよう。

クルマを横から見たときに、くさび状のシャープなデザインを「ウェッジシェイプ」と呼ぶ。
クルマを横から見たときに、くさび状のシャープなデザインを「ウェッジシェイプ」と呼ぶ。

AC 3000ME

AC 3000MEは、そのスタイリングと同じくらい複雑なストーリーを持つモデルである。1968年に構想され、1972年にオースチン・マキシから流用した1.5Lエンジンをミドマウントするプロトタイプ「ボハナ・ステイブルズ・ディアブロ」としてデビューした。

ACのキース・ジャッド氏は、このクルマに未来があると考え、1973年に3.0LのフォードV6エンジンを搭載し、高いパフォーマンスを発揮するモデルを発表した。しかし、ACがこれを発売するのは1979年になってからのことだった。

AC 3000ME
AC 3000ME

こうして生まれた3000MEは高価で、しかも低重心のルックスとは裏腹に足が遅すぎた。1984年にグラスゴーにある新会社AC(スコットランド)に売却されるまで、ACから販売されている。当時も今も、この個性的なウェッジシェイプは希少な存在である。

アストン マーティン・ラゴンダ

ウィリアム・タウンズ(1936~1993年)はウェッジシェイプ・デザインの主役の1人であり、1976年に発表したアストン マーティン・ラゴンダは、その妥協のない実例である。1972年に発売されたラゴンダをベースにしたこのモデルは、1976年に市場投入される予定だったが、当時としては先進的なエレクトロニクスを搭載していたため、生産に2年の遅れが生じた。

ラゴンダを手に入れたオーナーは、信頼性の低さに悩まされながらも、快活なパフォーマンスを享受した。1987年のマイナーチェンジでは、角張ったラインがわずかに緩和されたものの、1990年まで生産された。

アストン マーティン・ラゴンダ
アストン マーティン・ラゴンダ

オースチン・プリンセス

1975年に「18-22」として公開されたこのモデルは、1976年に「プリンセス」となり、売れ筋のフォード・コルチナに対するオースチンの回答であった。モリスやウーズレーからもリバッジされたモデルが登場したが、いずれも4ドアであることは同じ。1982年にハッチバック仕様が導入され、アンバサダーと呼ばれるさらに劣悪なモデルへと変貌を遂げた。

アンバサダーの利点は、品質が大幅に改善されたことである。しかし、ウェッジシェイプとシャープなラインは、同年に発売された大胆な“ゼリー型”のフォード・シエラに惹かれるユーザーの希望とは相容れないものであった。

オースチン・プリンセス
オースチン・プリンセス

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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