ゼロ・エミッションの中型クロスオーバー トヨタbZ4Xへ英国試乗 丁度良い味付け

公開 : 2022.06.28 08:25

ライバル勢から若干遅れ気味に投入される、BEVのbZ4X。218psの四輪駆動版を英国編集部が評価しました。

ゼロ・エミッションの中型クロスオーバー

トヨタの新しいバッテリーEV(BEV)には、少々読みにくい名前が与えられた。bZはビヨンドゼロの略。ゼロ・エミッションということで、BEVであることを表している。4は中型のボディサイズで、XはSUVやクロスオーバーを表すものだという。

レクサスを除くトヨタとしては初のBEVで、ベースとするのはeTNGAと呼ばれるEV専用のプラットフォーム。カローラなども採用するTNGAの派生版となるが、駆動用バッテリーとモーターで走るモデルへ特化している。

トヨタbZ4X AWDプレミア・エディション(欧州仕様)
トヨタbZ4X AWDプレミア・エディション(欧州仕様)

レイアウトはBEVとしておなじみのもの。フロア下に大きな駆動用バッテリーが敷き詰められ、前端と後端に駆動用モーターが載っている。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアはトレーリングアーム式が選ばれた。

eTNGAは、全長が4.3mから5.0mくらいのトヨタ製BEVが共通して用いる予定。ひと回り小さいプラットフォームをベースにしたモデルも、今後に控えている。プリウスでハイブリッドを他よりリードしていたトヨタだが、BEVの展開はやや慎重らしい。

bZ4Xは全長4690mm、5シーターのクロスオーバーで、前輪駆動か四輪駆動を選べる。今回の試乗車は後者で、前後に109psの駆動用モーターを搭載し、合計での最高出力は218psとなる。

英国価格は、四輪駆動で4万8350ポンド(約788万円)から5万1550ポンド(約840万円)に設定された。前輪駆動の場合は203psの駆動用モーターがフロントに1基載り、4万1950ポンド(約683万円)から4万7650ポンド(約776万円)だ。

動力性能や車体サイズはVW ID.4と同等

駆動用バッテリーの容量は、共通で71.4kWh。急速充電能力は最大150kWまで対応する。現在のところ、車載のAC充電器は6.6kWとなっているが、2022年末には11kWへアップグレード予定だという。

航続距離はグレードによって変わるものの、四輪駆動の場合、WLTP値で413kmから460km。前輪駆動では445kmから510kmがうたわれる。実際の車載コンピュータが算出する距離は短く、試乗車の場合は337kmが表示されていた。

トヨタbZ4X AWDプレミア・エディション(欧州仕様)
トヨタbZ4X AWDプレミア・エディション(欧州仕様)

動力性能やボディサイズを比べてみると、駆動用バッテリーの容量も含めて、フォルクスワーゲンID.4と肩を並べる。エネルギー効率も同等といえるが、トヨタはbZ4Xの方が優れると主張するだろう。

インテリアは、広々としていて居心地が良い。荷室容量はトノカバー下で452Lあり、充分に広い。リアシートの背もたれは、分割して折りたたむことができる。ボディサイズを考えると、リアシート側は膝前の空間にも余裕がある。

低い位置に据えられたダッシュボードには、薄地のクロスが張られているが、傷の付きやすそうなプラスティックも目につく。沢山の小物入れが用意されている反面、助手席正面のグローブボックスは備わらない。

タッチモニターだけでなく、実際に押せるハードボタンも多く残され、操作性は良い。ステアリングホイールはプジョーのiコクピットのように小さく、モニター式のメーターパネルが部分的にリムで隠れてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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