V8 620psのフェラーリ・ローマでグランドツアー ル・マン-ロンドン長距離試乗 後編

公開 : 2022.08.14 08:26

マラネロの最新2+2グランドツアラー、ローマ。ル・マンからロンドンまでの長距離試乗で、その実力を確認しました。

驚くほど快適に長距離をこなすローマ

フランスの太陽は地平に沈み、ほとんど交通のない高速道路でル・マンへ戻る。フェラーリ・ローマは淡々とアスファルトを進み、グランドツアラーとしての能力の高さが浮き出てくる。

料金所からの再加速は、3.9L V8ツインターボ・エンジンを回し切る絶好の機会。620psの最高出力は5750rpmで発揮されるが、レッドラインはさらに1750rpmも上にある。

フェラーリ・ローマ(英国仕様)
フェラーリ・ローマ(英国仕様)

2速へシフトアップし、再びアクセルペダルを押し倒す。ステアリングホイールのリムに内蔵された、レブリミットのインジケーターが点灯する。子供っぽいかもしれないが、筆者はこの手のギミックが大好物。何度も試したいと思える。

サルト・サーキットで、24時間レースのナイト・スティントを楽しむ。お気に入りの観戦場所は、ピット出口の反対側。最初の右コーナーで、外側のタイヤへ一気に負荷がかかる様子を眺められる。ピットワークの大騒ぎも、遠くに望める。

翌日、予定通りトヨタのハイパーカーが1-2フィニッシュを遂げた。筆者は沢山の荷物をローマに積んで、ロンドンまでの640kmを運転し、ベッドへ転がり込んだ。年に1度の週末が終わった。

マトリックスLEDヘッドライトは夜の味方

穏やかに自動車移動をしたいなら、フェラーリは選ばない方がいい。それでも、ローマは驚くほど快適にロンドンまでの長距離をこなしてくれた。より遠い自宅へ急いでいる時は、その実力が一層発揮されると思う。

例えるなら、フェラーリSF90での穏やかな2時間の運転とローマでの4時間で、感じる疲労度は同程度。いかに快適なのか、おわかりいただけるだろう。

フェラーリ・ローマ(英国仕様)
フェラーリ・ローマ(英国仕様)

しかも、ローマなら1秒たりとも退屈には感じない。運転席に座ってクルマと関わっているだけで、気持ちが満たされる。

少し疲れたな、と思ったら、ステアリングホイールのボスで輝く跳ね馬を見るといい。すぐに気持ちが復活する。もちろん、適度な休憩も忘れてはいけない。

ル・マンからロンドンまでの道のりは、至って平穏だった。優れたグランドツアラーだという証拠といえる。ローマはドライバーに多くを求めない。一方でドライバーが求めれば、壮大な体験を享受させてくれる。想像以上といえる豊かさで。

アクティブ・マトリックスLEDヘッドライトは、モダン・フェラーリの強みの1つ。英国では2880ポンド(約47万円)というオプションだが、大幅に夜の運転を助けてくれる。金額に見合った追加装備の1つだ。

リアシートは実用的。フェラーリも+2だと認める広さだが、背もたれをフラットにたためば、トランク側と繋げて荷室を広げることもできる。週末の買い出しだけでなく、大人2名分の旅行の荷物も問題なく積める。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

V8 620psのフェラーリ・ローマでグランドツアー ル・マン-ロンドン長距離試乗の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事