接しやすく刺激的で、自信を持って運転できる

3.4Lへ排気量が増やされたエンジンは、どこまでも上昇していくように、滑らかに吹け上がる。アクセルペダルのストロークは長く、かなりのスピードで走っていても、さらに2cmくらいは踏み込める余地が残る。

同時に低・中回転域のトルクが増強され、ゆったりと走り回ることも難しくない。知的なECUが、エンジンの滑らかなフィーリングを担保している。

7500rpmで最高出力に達するそうだが、豊かな表現力で、それ以上に回っている気にさせられる。レスポンスは非常にシャープで、パワーデリバリーは線形的。期待通りの高速なポルシェだ。

6本並んだインテークは、特徴的な吸気音を放つ。特に4500rpmを超えた辺りからボリュームが増し、共鳴を伴い激しく変化。トップエンドでは鼓膜をつんざくようになるが、身体へ響く振動と相まって、満ち足りた音響体験でしかない。

このサウンドが3.4 RSRの性格を表している。尋常ではないが、危険な体験ではない。想像以上に接しやすく、刺激的で、自信を持って運転できる。

ドライバーを選ぶような野性味はある。荒々しい気性がくすぶる、威圧感もある。その絶妙な調律に、技術力の高さが垣間見れる。

スタイリングやメカニズムの美しさだけでなく、ドライビング体験の細部に至るまで、ルーフの徹底したコダワリが体現されている。素晴らしく特別な空冷の911だった。

ルーフ3.4 RSR（欧州仕様）のスペック

英国価格：50万8190ポンド（約8385万円）
全長：4128mm（RSR 2.8）
全幅：1651mm（RSR 2.8）
全高：1321mm（RSR 2.8）
最高速度：270km/h
0-100km/h加速：4.4秒
燃費：−
CO2排出量：−
乾燥重量：1095kg
パワートレイン：水平対向6気筒3366cc自然吸気
使用燃料：ガソリン
最高出力：320ps/7500rpm
最大トルク：35.0kg-m/6000rpm
ギアボックス：5速マニュアル

画像　カレラRSR 2.8を再現　ルーフ3.4 RSR　カーボンボディのSCR　他のレストモッドも　全137枚