【休日クラシック・ポルシェ・アーカイブ #45】1991年ポルシェ911ターボ3.3(964)「新たなフラッグシップモデルとして発表」

公開 : 2026.11.08 09:11

世界的な人気モデルとして支持され、サーキットでも数えきれぬ栄光の記録を刻んできたポルシェ。日曜日の午前9時11分に公開する、そんなポルシェの足跡を膨大なアーカイブと共に振り返る連載です。#45は『1991年ポルシェ911ターボ3.3』(964)です。

1991年ポルシェ911ターボ3.3(964)

ポルシェはタイプ964にフルモデルチェンジした2年後となる1990年のジュネーブ・モーターショーで、新たなフラッグシップモデルとなる911(964)ターボを1991年モデルとして発表する。

先代の930ターボと同様に、964ターボは、張り出したフェンダーを備えるワイドボディに、固定式の大型リアスポイラーを備えていた。

1991年ポルシェ911ターボ3.3(964)
1991年ポルシェ911ターボ3.3(964)    ポルシェ

2本の楕円型テールパイプが独自性を強調。ターボチャージャーの過給圧制御バルブが開くと、排気ガスは左側のテールパイプからのみ排出される。

これにより、新型は『ターボ』らしいルックスを維持することができ、930ターボの正統な後継モデルとして認められてゆく。

細部に目を移すと、ABSとパワーステアリングを初めて採用した最初のターボモデルであった。

空力特性を考慮したオーバル形状のドアミラーも採用されていた。

さらには、フルレザー・インテリア、エアコン、オンボードコンピューター、リアワイパーも標準で備わっていた。

大幅な改良が施されたターボエンジン

964ターボに搭載される3.3リッター・ターボエンジンは、930ターボのエンジンをベースとしていた。

ポルシェは964用に新たなターボエンジンの開発を進めていた。しかし、964ターボの発売までに完全な準備を整えられず、964ターボは930ターボで実績のある3.3リッター・ターボユニットを搭載して発売することになる。

ターボを象徴する固定式の大型リアスポイラーを備えていた。
ターボを象徴する固定式の大型リアスポイラーを備えていた。    ポルシェ

だがそのまま搭載するのではなく、大幅な改良が施されていた。

燃料供給はKジェトロニック・インジェクションを引き継ぐが、世界的に厳しくなった排気ガス規制を見据えて開発された。

圧縮比は930型と同じ7:1ながら、ブーストを0.8barから0.7barにダウンさせ、インタークーラーの容量アップ、ターボチャージャー・タービンの変更などにより最高出力は34hpアップした320hp/5750pmへと大幅な向上を果たした。

最大トルクも40.3kg-mから44.1kg-mへと高められ、扱い易さを実現していた。

排気ガス規制へは、三元金属触媒コンバーターで対応していた。トランスミッションは930ターボの1989年モデルで採用された5速を受け継ぐ。

1992年モデルからはWLSパッケージを用意

パワーアップに対応して、トラクションを確実に路面へ伝えるリミテッド・スリップ・ディファレンシャル(LSD)を採用。強化されたシャシー、大型のドリルド・ブレーキディスクに4ピストン固定式キャリパーなどが標準装備され、ストッピングパワーの充実も図られていた。

こうして964ターボは圧倒的なトルクを誇り、加速性能において非常に俊足なモデルとなった。0-100km/h加速は5.0秒、最高速度は270km/hをマーク。

964ターボの3.3リッター・ターボエンジンは、930ターボ用をベースに大幅な改良が施して搭載された。
964ターボの3.3リッター・ターボエンジンは、930ターボ用をベースに大幅な改良が施して搭載された。    ポルシェ

一方で、当時のターボ車全般に見られたウイークポイントだった『ターボラグ』も依然として顕著だった。

1992年モデルからは、ポルシェ964ターボの性能を向上させるラインオプションとしてWLSパッケージを用意する。バルブタイミングの変更、シリンダーヘッドの改良、インテークマニホールドの調整などにより、ポルシェはターボの出力を355hpへと引き上げた。このWLSパッケージは、『ポルシェ・エクスクルーシブ』を通じて後付けすることが可能だった。

●空冷水平対向6気筒 3299cc ●320hp ●270km/h

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

休日クラシック・ポルシェ・アーカイブの連載

連載をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

Google検索で『AUTOCAR JAPAN』の記事を見つけやすくする方法