ホンダ・フィットRS なぜ走りが心地いい? ハンドリング/足さばき/ドライブモードの注目点とは

公開 : 2022.12.06 12:03

新型フィットRSを、川島茂夫さんが解説。テスト車はハイブリッド仕様ですが、「よく出来た内燃機」のような心地よさがあるとレポートされています。

1台で、実用性とクルマ趣味

ロゴの後継モデルとして誕生したフィットは、初代からスモール2BOX車ではファミリー&レジャー志向が強かった。

というよりも登場時は同クラスで唯一と言ってもいいくらいだった。このコンセプトは初代以来継承され、現行型も同様である。

ホンダ・フィットe:HEV RS(クリスタルブラック・パール)
ホンダフィットe:HEV RS(クリスタルブラック・パール)    前田惠介

このMCではキャビンの実用性やスペース面の優位性を活かした車格感を高めたインテリアや躍動感のある新フロントマスクの採用など内外装の変化も注目点だが、パワートレインの変更と新グレード「RS」の追加は走りの側面から実用性とクルマ趣味を強化することになる。

最も大きな変化は、ガソリン車のエンジン。

e:HEV(ハイブリッド)車も駆動モーターの出力やエンジンと発電容量のアップを施しているが、ガソリン車は搭載エンジンを1.3Lから1.5Lに換装。

最高出力は20ps、最大トルクは2.5kg-mも向上。しかも、最高出力発生回転数は高く、最大トルク発生回転数は低下し、トルク特性はよりフラットなものとなった。残念ながら今回は試乗車が用意されてなかったが、期待値は高い。

この試乗での主役は、新設グレードの「RS」。

専用内外装を採用するだけでなく、サスチューニングも専用で新規開発。グレード展開では従来の「ネス」の後継となるが、スポーツ性の強化とフィットの新しい走りへのアプローチが見所である。

「RS」の心地よさ、詳しく説明

RSに搭載されるe:HEVは他グレードと共通パワースペックだが、ノーマル/スポーツ/ECON(エコ)の3タイプの「ドライブモード切替」を専用機能として採用。

また、パドル操作によりエンブレ回生の強さを4段階で制御できる「減速セレクター」もRS専用装備として装着する。

ホンダ・フィットe:HEV RS(内装色:グレー×イエロー)
ホンダ・フィットe:HEV RS(内装色:グレー×イエロー)    前田惠介

ドライブモード切替はアクセルペダル・ストロークなどに対する駆動力制御特性の変更が主。とくに珍しいものではないが、エンジン稼働の制御も連動していて、スポーツモードを選択すると稼働頻度も回転数も高め。

それらしく走らせているとMT車なら1、2段低めのギアを選択して加速しているような感覚。車速・加速とも連動した制御で、純電動のシリーズ制御ながらエンジン駆動と錯覚してしまうほどだ。

踏み込みに対する即応性など電動ならではの部分もあるが、トルクの繋がり・伸び感などのよく出来た内燃機の心地よさも織り込んだドライバビリティが印象的。

誤解されないように付け加えるが、決して古臭いわけではない。ドライビングのリズム感やクルマとの対話感が心地よい。

ちなみにe:HEVは高速巡航用のエンジン直動機構(パラレル制御)を備えるが、直動の守備レンジも拡大。100km/h超での緩加速も直動で維持し、余力感も従来型から向上していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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