なぜ? 「クロス系」ノート/フィットが売れないワケ ヤリス・クロス独り勝ちの背景

公開 : 2022.03.04 05:45

ヤリス・クロスが好調の裏でノート・オーテック・クロスオーバーとフィット・クロスターが苦戦。差がついたワケを解説。

トレンドは「SUV系」

最近はSUVの売れ行きが急上昇している。

2010年頃は、国内で新車として売られる小型/普通乗用車の10%少々がSUVだったが、今は約30%だ。

日産ノート・オーテック・クロスオーバー
日産ノートオーテッククロスオーバー    日産

セダンやステーションワゴンが減り、SUVは増えて、ミニバンと並ぶ売れ筋カテゴリーになった。

この中でもとくに、コンパクトなSUVが好調だ。

2021年1~12月における1か月の平均登録台数を見ると、ヤリス・クロスは8670台(ヤリスとGRヤリスを除く)、ライズは6800台、ヴェゼルは4400台で、いずれも小型/普通車販売ランキングの上位に入る。

ほかの上位車種は、コンパクトカーのヤリスが8400台、フリードは5800台だから、コンパクトSUVの高人気が分かる。

ヤリス・クロスは、エンジンやグレードの種類はヤリスよりも少ないが、登録台数はヤリスを上まわる。

またカローラ・クロスは2021年9月に発売され、2022年1月には7500台を登録した。

この売れ行きはカローラ・シリーズ全体の59%に達する。

ただし、すべてのコンパクトSUVが好調とは限らない。

日産のノート・オーテック・クロスオーバー、ホンダフィット・クロスターは売れ行きが伸び悩む。

ホンダの販売店によると「フィットはホームの売れ行きが圧倒的に多く、クロスターは少ない」という。

ノートも売れ筋はXとSで、オーテック・クロスオーバーは少数派だ。

なぜヤリス・クロスに比べて、ノート・オーテック・クロスオーバーやフィット・クロスターの販売は低迷しているのか。

クロス系ノート/フィットは苦戦のワケ

ホンダの販売店では「SUVを購入するお客さまは、ヴェゼルを選ぶ。フィット・クロスターは、フィットのグレードに位置付けられるが、ヴェゼルは外観が異なり、コンパクトカーとは違うSUVと認識されている」という。

そしてSUVのユーザーは、立派な外観、上質な内装、荷室高に余裕のある積載空間などを重視する。そうなるとヴェゼルが有力候補になる。

ホンダ・フィット・クロスター
ホンダ・フィット・クロスター    ホンダ

仮にヴェゼルがなければ、フィット・クロスターがもう少し注目されたかも知れないが、実際はユーザーを奪われた。

ノート・オーテック・クロスオーバーは、フィット・クロスター以上に存在感が乏しい。

ノートの発売は2020年12月だが、ノート・オーテック・クロスオーバーは2021年10月と遅れた。

しかも2020年8月にはノート・オーラが発売されて人気を高め、その後にノート・オーラ・ニスモも加わったから、ノート・オーテック・クロスオーバーは埋もれた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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