ハイブリッドがアップデート ホンダ・フィット・クロスターへ英国試乗 望ましい結果

公開 : 2023.06.26 08:25

エンジンとモーターに改良を受けた、英国仕様のホンダ・フィット。少しワイルドな見た目のクロスターへ英編集部が試乗しました。

ハイブリッド・システムを中心にアップデート

コンパクト・ハッチバックは近年減少傾向。それでも、Bセグメントに属するホンダ・ジャズ(フィット)は、英国で堅調な人気を維持している。その訴求力を保つべく、アップデートが施された。

英国市場では、フィットはライバルより価格がお高め。そのかわり、革新的なハイブリッド・パワートレイン、e:HEVを搭載している。従来の特徴を保ちつつ、走行時のCO2排出量を抑えている点が、支持を集める理由の1つになっている。

ホンダ・ジャズ(フィット) 1.5i-MMD クロスター(英国仕様)
ホンダ・ジャズ(フィット) 1.5i-MMD クロスター(英国仕様)

今回のアップデートでも、ホンダが注力したのはハイブリッド・システムの改良。筆者が試乗した、クロスオーバー風のクロスターにも施されている。ただし、変化の幅は大きくない。

見た目では、フロントグリルとバンパー、ヘッドライトのデザインが新しくなった。またシャシーにも手が加えられている。よりスポーティーで魅力的な運転体験を求めるユーザーのために。

フィットのe:HEVは、2基の駆動用モーターとバッテリー、1.5L 4気筒・自然吸気ガソリンエンジン、e-CVTという構成で成り立っている。非常に複雑なシステムだが、アップデート前から優れたエネルギー効率を得られることは確かめている。

このアップデートで、システム総合での最高出力を109psから121psへ上昇させつつ、フィット・クロスターの20.9km/Lという燃費と、109g/kmのCO2排出量に変化はない。駆動用モーターと内燃エンジンの能力を高めつつ、望ましい結果を導いている。

シームレスでエネルギー効率に優れる走り

現行のフィットは、低速で走行している場面では駆動用モーターが専ら働く。エンジンは回転しないため非常に静かなだけでなく、リニアで滑らかな走りを味わえる。まるでバッテリーEVのように。

駆動用バッテリーの充電量を保つため、発進後しばらくするとエンジンが発電機として始動。駆動用モーターとバッテリーへ、必要な電気を供給する。

ホンダ・ジャズ(フィット) 1.5i-MMD クロスター(英国仕様)
ホンダ・ジャズ(フィット) 1.5i-MMD クロスター(英国仕様)

高速道路の速度域ではクラッチが繋がり、エンジンが直接フロントタイヤを駆動し始める。その間でも、必要に応じて駆動用モーターがアシスト。80km/h前後で走行中に、エンジンが停止し電気の力だけで走る場面をしばしば体験した。

説明するとパワートレインの複雑な動きに翻弄されそうだが、実際は心配不要。システム自体が状態を判断し、最適なエネルギー効率が実現されている。ドライバーは、普段通りアクセルとブレーキのペダルを踏んでいれば大丈夫だ。

むしろ、古くからのフィット・ユーザーがアクセルペダルを踏んだら、その加速力に驚くかもしれない。静止状態からでも、巡航走行中でも、活発さに笑みが溢れるだろう。

運転中に、エンジンや駆動用モーターの動きを知る手段は、モニター式メーターに示される小さなアイコンのみ。ホンダはシームレスに切り替わると主張しているが、まったく異論はない。

燃費も褒められる。試乗では積極的に飛ばした時間も含まれたものの、平均で19.8km/Lを記録した。もっとも、トヨタヤリスのカタログ値は24.4km/Lと、さらに勝るが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事