少し気まぐれで大きな猫 オラ・ライトニングキャットに試乗 ツインモーターで408ps 

公開 : 2023.01.31 08:25

408psを受け止めきれないシャシー

実際に運転してみると、見た目は滑らかでスポーティーなものの、シャシーの能力がそれに追いついていない。前後に駆動用モーターを1基づつ搭載し、システム総合で408psという動力性能を備えるが、受け止めきれないようだった。

高いスピードを保ったままコーナリングを試みると、フロントタイヤが暴れだし、グリップが失われる場面も。直線では息を呑むほど速いことは確かだが、カーブが見えたら丁寧な速度調整が必要となる。

オラ・ライトニングキャット(中国仕様)
オラ・ライトニングキャット(中国仕様)

大径なステアリングホイールは軽く回せ、フィードバックはほぼない。リムも細い。

それでもアグレッシブな走りへ挑みたいドライバー向けに、スーパースポーツ・ボタンがある。エンジンを模した人工ノイズが車内に響き、やや時代遅れのシャシー特性と相まって、古いビデオゲームを現実化したような気分を味わえる。

日常的に利用するであろうドライブモードには、エコ、ノーマル、スポーツの3種類が設けられている。特に明確な違いは生まれないものの、少なくともエコ・モードはエネルギーの使用量を抑えてくれるようではある。

ちなみに、カスタム・モードとゴッデス(女神)・モードもある。後者はステアリングホイールの操舵感が一層軽くなり、直線加速は優しく、回生ブレーキは穏やかになる。

回生ブレーキの強さは、独自に切り替えることが可能。アクセルオフで強力な制動力を得られるが、10km/hを下回った辺りで弱くなり、ブレーキペダルを踏まない限り完全に停止することはなかった。

一貫性に欠ける少々気まぐれな猫

オラ・ライトニングキャットは、英国への導入も計画されている。現地ではシングルモーター版も用意されており、穏やかに運転したい場合は、こちらの方がコストは抑えることができる。

インテリアは上質で、標準装備も充実している。スタイリッシュなサルーンだが、動的能力には改善の余地があることは確か。走りの一貫性に欠ける、少々気まぐれな猫といったところかもしれない。

オラ・ライトニングキャット(中国仕様)
オラ・ライトニングキャット(中国仕様)

オラ・ライトニングキャット(中国仕様)のスペック

中国価格:28万2500元(約539万円)
全長:4871mm
全幅:1862mm
全高:1500mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:4.3秒
航続距離:600km(CTLC値)
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2115kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:83.0kWh
急速充電能力:−
最高出力:408ps
最大トルク:69.3kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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