ハンサムSUVが小変更 ランドローバー・レンジローバー・ヴェラールへ試乗 最新I/F実装

公開 : 2023.09.02 08:25  更新 : 2024.02.09 08:51

2017年発売のレンジローバー・ヴェラールが中期のフェイスリフト。当初からの強みは変わらないと、英国編集部は評価します。

スタイリングの変化は非常に限定的

「還元的なデザイン」。レンジローバー、ヴェラールの発表時に、ランドローバーが用いた言葉だ。2017年当時は、その表現に疑問を抱かなかったわけではない。余計なものを削り基本の状態を求める、還元的なアプローチが必ずしも望ましいとは限らない。

しかし、筆者はデザイン分野で用いられる表現を正しく理解する必要があったようだ。ランドローバーが追求した、クリーンでミニマルな美学が実際のカタチへ落とし込まれ、とてもハンサムで存在感の強いSUVが誕生することになったのだから。

ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)

そんなレンジローバー・ヴェラールは、2024年仕様としてフェイスリフトを受けた。施されたスタイリングのアップデートもまた、極めて還元的。基本へ忠実という意味で。

前後のライトとバンパー、ラジエターグリルなどの造形へ手が加えられているものの、変化ぶりは非常に小さい。夜間、ライトを灯して走行していれば、違いに気付けるかもしれない。だが太陽の光の下では、見過ごしてしまいそうだ。

パワートレインのアップデートも限定的。マイルド・ハイブリッド化された直列4気筒と直列6気筒のガソリンとディーゼルがラインナップされ、複数の最高出力から選択できることは従来どおり。

直列4気筒ガソリンエンジンに駆動用モーターが組み合わされた、プラグイン・ハイブリッドでは駆動用バッテリーが大型化された。それにより、電気の力だけで走れる距離は64kmへ近づいている。

最新世代のインターフェースを初搭載

一方、インテリアには大きく手が加えられた。ピヴィ・プロと呼ばれる、タッチモニターが前提のインフォテインメント・システム登場前に発売されたヴェラールだったが、今度は一転、最新世代のインターフェースを先駆けて搭載している。

タッチモニターを介し、エアコンやオーディオ、テレインレスポンスなどの機能が、統合的に制御されるようになった。同時に、センターコンソール上のスイッチ類は大幅に削減され、スッキリしたデザインを獲得した。むしろ、少し寂しく見えるほど。

ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)

従来まで、実際に回せるエアコン用ノブなどが一体になった、サブのタッチモニターが存在したエリアはフラットに。小物入れと、スマートフォンのワイヤレス充電パッドへ置き換えられている。

1面のタッチモニターへ車載機能の操作系が集約されたことで、使い勝手に影響が出ていることは間違いない。それでも、システムのメニュー画面は知的にデザインされ、ショートカットキーも常時表示されるため、想像ほど頭を悩ませる必要はない。

1度タップするだけで、エアコンとナビ、オーディオなどのインターフェースへ切り替えられる。ランドローバーによれば、殆どの操作は2回タップすればまかなえるという。

とはいえ、実在するボタンへ手を伸ばすより、視線の移動時間が増えることは明らか。従来よりグラフィックが高精細になったとしても、同じタッチモニターへ何度も触れるため、指紋も残りやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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