ハンサムSUVが小変更 ランドローバー・レンジローバー・ヴェラールへ試乗 最新I/F実装

公開 : 2023.09.02 08:25  更新 : 2024.02.09 08:51

ライバルを凌駕するエアサスの乗り心地

予算を割けられる高級車では、必要以上にモニターへ集約しない方が賢明だと筆者は思う。豪華な素材で成形された、触感に優れるスイッチ類を扱うことは、上級さを感じる機会になり得る。デジタルとアナログを融合した、技術的な高度さも伝わるだろう。

平滑になったセンターコンソールの中央には、操作感の軽いシフトセレクターが1本突き出ている。内装を見渡すと、試乗車のD200 ダイナミックSE グレードの場合、素材の質感に良し悪しが混ざっている。仕上げが若干安っぽく感じられる部分も散見された。

ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)
ランドローバーレンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)

実際に一般道を走らせれば、インテリアの細かな部分を忘れるほど上質で安定している。直列6気筒エンジンかプラグイン・ハイブリッドを選ぶと、従来どおりアダプティブダンパーと車高調整可能なエアサスペンションが、英国仕様には標準でついてくる。

ダイナミックHSE グレードなら、直列4気筒エンジンでも標準。2225ポンド(約40万円)のオプション、ダイナミックハンドリング・パッケージを追加すれば、試乗車のように4気筒ディーゼルのD200でも追加は可能だ。

適度なサイズのアルミホイールと組み合わせることで、乗り心地はライバルを凌駕する。ぜひ選びたいオプションだといえる。

印象的なまでにラグジュアリーな走り

ドライビング体験は、印象的なまでにラグジュアリー。コンフォート・モードへ切り替えると、エアサスペンションは小さなノイズを聞かせつつ、穏やかに車高を持ち上げる。快適で余裕のある走りに身を委ねられる。

ダイナミック・モードを選択すれば、操縦性重視へシフト。ステアリングホイールの重み付けが増し、反応はタイトに変化する。しっかりドライバーの気持ちへ応えてくれるが、基本は穏やか。乗り心地は、終始しなやかで心地いい。

ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)

最新のレンジローバーやレンジローバー・スポーツのように、圧倒的な外界との隔離性までは備わらない。とはいえ至って上質。長距離移動を快適にこなせ、運転も楽しめるSUVに仕上がっている。

英国のエントリーユニットといえる、4気筒ディーゼルターボも好ましい。最高出力203ps、最大トルク43.7kg-mと数字は控えめでも、レスポンスに優れたくましい。

車重が1928kgもあるため、急な登り坂などでは一生懸命働く必要は出てくる。若干息苦しそうなノイズを響かせるものの、雰囲気を濁らせるほどではない。焦らずゆったりと運転すれば、レンジローバーらしからぬ17.0km/L以上の燃費を得られる。

ヴェラールは、レンジローバーを名乗るのに相応しい、高級SUVとして不足ない強みを備える。控えめなフェイスリフトを経ても、ライバルよりハンサムで、走りがダイナミックな高級SUVだという評価に、変わりはないといえるだろう。

ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール D200 ダイナミックSE(英国仕様)のスペック

英国価格:5万8545ポンド(約1059万円)
全長:4797mm
全幅:1950mm
全高:1683mm
最高速度:233km/h
0-100km/h加速:7.8秒
燃費:15.2km/L
CO2排出量:173g/km
車両重量:1928kg
パワートレイン:直列4気筒1997ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:203ps/3750-4000rpm
最大トルク:43.7kg-m/1750-2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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