新居からEV充電器が盗まれた! 近隣で被害15件、ネット転売の標的に? 英国

公開 : 2023.04.17 18:05

英国の新興住宅地でEV充電器がまとめて盗難被害に遭うという事件が発生しました。新居の壁や支柱からもぎ取られ、合計15個が盗まれたとのこと。高価な充電器がネット転売のターゲットになっていると予想されます。

隣人も被害に… 新興住宅地で充電器盗難

英国在住のポールさん(仮名)は新居の外壁に埋め込まれた4つのネジ穴を指差し、「そこにEV充電器があったんです」と言う。「数か月前、この家を初めて見たときにはそこにあったのですが、引っ越したその日、ジャンクション・ボックスにつなぐケーブルごと消えていることに気づきました」

ポールさんは、イングランド南部のハンガーフォード郊外に建てられた新築住宅の所有者で、出力7kWのuPowa製EV充電器を何者かに盗まれた。この一角は新たに宅地として開発されたランカスターパークというエリアで、ポールさん以外の住民も同じ被害に遭っている。

建物の外壁や支柱に取り付けられる家庭用EV充電器。黒いプラグの部分が丸ごと盗まれた。(写真は被害を免れたお宅のもの)
建物の外壁や支柱に取り付けられる家庭用EV充電器。黒いプラグの部分が丸ごと盗まれた。(写真は被害を免れたお宅のもの)    AUTOCAR

「住宅組合はすぐに対応すると言っていましたが、それ以来何も音沙汰がありません。隣人の充電器も消えてしまいました」とポールさん。

この事件は、3月末に開かれたハンガーフォード市議会の高速道路・交通委員会の会合で明らかになった。ファイフ議員は、ランカスターパークで最大15台の充電器が盗まれたと話す。「ガレージから盗まれたものもあれば、無人の建物から盗まれたものもあります。管理会社がこの問題に対処しているところです」

ランカスターパークは、ロンドンから電車で1時間強の場所にあるハンガーフォードの新興住宅地で、周りを畑に囲まれた緑豊かな田園地帯に100戸の住宅が並ぶ。

報道では、充電器のケーブルも盗まれているとのことだった。クルマから取り外すのが難しいこと、切断されると感電の危険性があること、住宅の所有者が近くにいることなどから、AUTOCAR英国編集部はこの事件に興味を持ち、現地を訪れて、実際に何が起きているのかを知ることにした。

ポールさんの家から歩いてすぐのところにあるリックさんの家は、まだ充電器の盗難被害に遭っていない。リックさんは他の住民と一緒にSNSのWhatsAppでグループを作り、この問題について議論していると教えてくれた。「20台くらいの充電器が盗まれていると思いますが、そのほとんどは家が空いているときに盗まれたものです。充電ケーブルがクルマから持ち去られたという話は聞いたことがありません」

充電器は住宅の壁だけでなく、車道の端にある支柱に取り付けられたものもある。そのうちの数台も盗まれたようだ。青いナイロンコードがぶら下がっているところもある。一角に住むダンさんは、「わたしはクルマを持っていないし、ましてやEVでもないのですが、父と兄がそれぞれEVを持っており、わたしの充電器が盗まれたのを見てショックを受けていました」と語る。

ダンさんの隣人も充電器を盗まれたが、2軒隣の家では支柱に残ったまま無事だった。

充電器を販売するEVチャージャーズ・ダイレクト社のディレクター、クリス・モンゴメリー氏は、窃盗犯が充電器を盗んでオンラインで転売しているのではないかと推測する。「新品の7kW充電器の価格は平均550ポンド(約9万円)なので、100ポンド(約1万6000円)で売れば、あまり細かいことを気にしないような人が興味を持つかもしれません。メーカーは、泥棒が取り付けネジにアクセスするのが難しくなるような、ロック可能な充電器ボックスを設計すべきです」

市議会は、この問題を警察に報告した。ランカスターパークの開発元であるビュリーホームズ社の広報担当者は、他に同様の盗難事件は発生していないが、より安全な充電器を調達するために取引先と協力していると述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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