アウディA7 / S7 / RS7 スポーツバック

公開 : 2015.04.07 21:50

パワートレイン

日本仕様のA7 / S7 / RS7スポーツバックに搭載されるのはすべてガソリン・エンジンのTFSIだ。本国などで設定されているTDIユニットはない。そのラインアップの中で注目すべきは、今回新たにベーシック・グレード用のエンジンとして2.0TFSIユニットが用意されることとなったことだ。

その2.0TFSIユニットは、アウディでも多くのモデルに使われている評判の高いもので、事実、2005年から2009年までの5年連続でインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーの1.8ℓ-2.0ℓ部門でトップに輝いているという経歴の2.0FSIユニットがそのルーツとなる。排気量1984cc4気筒のダイレクト・インジェクション・ユニットで、特殊合金製タービン・ホイールと電動式ウェイトゲートを持つターボチャージャーを装備する。パワーは252ps/5000-6000rpm、トルクは37.7kg-m/1600-4700rpmという値だ。燃費は16.12km/ℓ、CO2排出量は144g/km、パフォーマンスは0-100km/h加速が6.9秒、トップ・スピードはリミッターが作動する250km/hとなる。

一方、A7スポーツバックの上級モデルに搭載されるのは、2995cc V6スーパーチャージャーの3.0TFSIユニットとなる。これは従来モデルにも搭載されていたものだが、徹底したフリクション・ロス低減が計られるなどの改良が施された結果、パワーが向上しただけでなく燃費の値も向上している。パワーは旧A7スポーツバック3.0TFSIに対して23ps向上した333ps/5300-6500rpmとなった。トルクの数値は44.9kg-m/2900-5300rpmと変りないが、燃費は13.15km/ℓに向上し、CO2は排出量も176g/kmとなっている。パフォーマンスは0-100km/h加速が5.3秒、トップ・スピードは2.0TFSI同様にリミッターが作動する250km/hとなる。この3.0TFSIにはアイドリング・ストップが標準装備される。

S7スポーツバックに搭載される4.0TFSIバイターボ・ユニットもパワーアップされている。3992ccツインターボのV8ユニットは、前モデルの30ps増しの450ps/5800-6400rpm、56.1kg-m/1400-5700rpmというパワー、トルクを持つ。このV8ユニットにはシリンダー・オン・デマンド(COD)システムという気筒休止システムが採用されている。エンジン負荷が25.5kg-m以下、回転数が3500rpm以下というのを目安に4つのピストン・バルブをと燃料供給と点火を停止させ、2ℓV4エンジンとして走行させるというもので、このシステムの採用によりNEDC基準では5%ほどの燃費向上が見込めるのだという。実際に燃費は10.75km/ℓ、CO2排出量は215g/kmという値だ。パフォーマンスは0-100km/hが4.6秒となり、トップ・スピードはリミッターが作動する250km/hだ。

そしてトップ・モデルのRS7スポーツバックに搭載されるのは、ユーロ6に対応した4.0TFSIバイターボ・ユニットだ。S7と同じキャパシティの3992ccツインターボのV8ユニットながら、パワーは560ps/5700-6600rpm、トルクは71.4kg-m/1750-5000rpmまでにチューニングされている。S7と同様にCODを備え、そのパフォーマンスは0-100km/h加速が3.9秒、最高速度は他のモデルと同様にリミッターが作動する250km/h。燃費は10.52km/ℓ、CO2排出量は221g/kmとなる。ちなみに、4.0TFSIの2基のユニット共にアイドリング・ストップが標準となる。なお、後述のセラミック・ブレーキとセットで、最高速度が305km/hになるダイナミック・パッケージ・プラスも用意される。

トランスミッションは、A7スポーツバックおよびS7スポーツバックには7速Sトロニックが組み合わせられる。全てのモデルでパドル・シフトは標準だ。また、RS7スポーツバックにはトルク・コンバーターの8速ティプトロニックが組み合わせられる。もちろん、こちらにもパドル・シフトが装備される。

シャシー

今回の日本仕様のA7 / S7 / RS7スポーツバックはすべてフルタイム4WDシステムであるクワトロが標準となる。本国などで設定されているFWDモデルはない。A7のクワトロ・システムは、標準状態でフロントに40%、リアの60%というトルク配分を行い、必要に応じてフロント最大70%、リア最大85%にまで駆動力を振り分けるというもの。また、このクワトロが持つセルフ・ロッキング式センター・ティファレンシャルは単純な駆動力配分の他、電子式横滑り防止装置(ESC)を制御するソフトウェアとも密接に連動し、コーナリング時にはイン側のタイヤの荷重減少を察知すると適量のブレーキを掛け、アウト側のタイヤへ駆動トルクを配分する。これによって、スタビリティの向上、ハンドリングの正確性と俊敏性、安定性を向上させるというものだ。

更にS7スポーツバックとRS7スポーツバックには、スポーツ・ディファレンシャルが装備される。これは、通常のリア・ディファレンシャルの機能を向上させたもので、油圧マルチ・プレート・クラッチと追加ギアにより左右輪へのトルク配分をより適切に行うというもの。アクティブに駆動トルクを配分することにより不要なアンダーステア、オーバーステアの発生を抑える役目を持つ。また、コーナリング中のドライバーのスロットル・ワークやステアリング操作に反応してトルク配分が行われる。このモードは、アウディ・ドライブ・セレクトを利用して好みのものにすることが可能だ。

サスペンションの形式は、フロントが5リンク式のダブル・ウィッシュボーン、リアがトラペゾイダル・リンクを使用したウィッシュボーン。A7スポーツバックには車高が20mほど低くなったSライン・スポーツ・サスペンションをオプションのSライン・パッケージを選ぶことで装着が可能だ。また、S7スポーツバックにはアダプティック・スポーツ・エア・サスペンションが、RS7スポーツバックにはDRC(ダイナミック・ライド・コントロール)付スポーツ・サスペンション・プラスが装備される。RS7スポーツバックのスポーツ・サスペンション・プラスは、スティール・スプリングと3段階に調節が可能なショックアブソーバーで構成されるもので、対角線上に位置するアブソーバー同士がオイルラインで接続されている。このラインの中間にあるセンター・バルブが、ピッチやロールを安定するように流量を決定するというものだ。

ブレーキは、すべてのモデルが4輪ベンチレーテッド・ディスク。S7スポーツバックのキャリパーはブラックにペイントされる。また、RS7スポーツバックのディスクはウェーブ・デザインが施されるほか、標準ではブラックにペイントされるキャリパーをオプションでレッドにペイントすることも可能。さらに、カーボン・セラミックもオプションとして用意される。

ホイールおよびタイヤ・サイズは、255/45R18がA7スポーツバック2.0TFSIに、255/40R19がA7スポーツバック3.0TFSIに、265/35R20がA7スポーツバックSラインおよびS7スポーツバックに、そしてRS7スポーツバックには275/35R20が標準となる。

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