ホンダ・ステップワゴン / ステップワゴン・スパーダ

公開 : 2015.04.24 23:40

パワートレイン

注目のパワートレインは、全車に新開発の1.5ℓ直噴VTECターボを搭載する。ホンダ初の採用となるこのエンジンは、ヴェゼルなどに搭載される自然吸気ユニットのL15Bにターボチャージャーを組み合わせたもの。

型式は同じL15Bで、ボア×ストロークも73.0×89.4mmと変わらないがデュアルVTCや小径タービンを組み合わせることで最高出力は150ps/5500rpm、最大トルクは20.7kg-m/1600-5000rpmを発揮する。なお参考までに、ヴェゼルに搭載される自然吸気のL15Bは最高出力131ps/6600rpm、最大トルクが15.8kg-m/4600rpm。両者を比較してみるとピーク数値の上昇もさることながら、パワー&トルクともに発生回転数が下げられていることが大きなポイントだ。とくに特筆すべきは最大トルクで、1600-5000rpmという幅広い回転域でピーク値の20.7kg-mを発生している。

欧州車ではすでに浸透しつつある、小排気量エンジン×ターボ。いわゆるダウンサイジング・ターボの狙いは、より低く幅広いエンジン回転域で大きなトルクを発生させ、排気量が大きいエンジンと同等以上の運動性能と、小排気量エンジンならではの燃費の良さを兼ね備えるというもの。

新型ステップワゴンの1.5ℓ直噴VTECターボは、2〜2.4ℓエンジンに比肩する動力性能と優れた燃費を両立させている。使用ガソリンは全車レギュラーだ。

そのJC08モード燃費については、FFモデルで見ると15.4〜17.0km/ℓ。もっとも優れているのはベースモデルのGあるいはBといったグレード。G・EXのFFモデルは16.2km/L、スパーダは16.0km/ℓ。スパーダのクールスピリットは17インチタイヤが標準となるためか、15.4km/ℓに留まる。とはいえ、先代モデルのJC08モード燃費は13.8〜15.0km/ℓであったため、新型ステップワゴンが搭載した1.5ℓ直噴VTECターボは燃費性能を改善させつつ、運動性能を向上させたことになる。

またこれらの数値により平成32年度燃費基準が達成され、購入時に納める自動車取得税が60%、同重量税が50%軽減され、購入の翌年度に納める自動車税も75%カットされる。この自動車税については、排気量そのものも2ℓから1.5ℓになったため区分が下がることも嬉しいポイントといえるだろう。

インテリア

3列シートを備えるという点では変更がないが、新型ステップワゴンのインテリアにおける最大の変更点は2列目シートが左右独立のキャプテン・タイプを標準としたこと。6:4の分割式となる2列目ベンチ・シートの8人乗り仕様はオプション設定される。また3列目シートは6:4の分割床下格納式で、背もたれを前倒ししてから荷室の床に落とし込む機構を採用している。先代モデルではベンチシートだった2列目をキャプテン・タイプに変更した理由は、フロント両席から後席までの全席ウォークスルーを実現するため。そしてさらには、乗員全員が「わくわくゲート」を用いてテールゲート(バックドア)から乗り込むことに拘ったためだ。

その室内空間は、レイアウトの変更だけでなく居住性も大幅な改善が図られた。乗車定員は先代同様、7名(あるいは8名)だが、最大の違いはボディ左右のウィンドウを「立てた」こと。これによりボディ全幅には変更はないが、ルーフパネルの幅は45mmも広がっている。外寸が拡幅されたことはそのまま室内空間の拡大に繋がり、室内側の天井幅は運転席および助手席で40mm、2列目シートで45mm、3列目シートで35mm広がっている。つまり車体を真正面から見た場合に、乗員のショルダー・レベルの幅は変わらないが、頭上空間の幅が広がっているということだ。

さらに全高は先代モデルより25mm高められているが、ルーフ・ライニングを薄型化することにより、室内高では30mmの拡大を実現。その恩恵はどのシートに座っても実感できるほどで、ウインドウが大きくなったことにより車内を明るく開放的な空間とすることにも貢献している。

室内は頭上空間だけでなく、シートの前後スペースにおいても拡大がなされており、その大きな要因となっているのはコンパクト化されたエンジンにある。エンジン・ルームが小さくなったことでボンネットの前後長は40mm短縮され、運転席と助手席がそのまま40mm前方へと移動している。フロント両席が前方へ移動したぶんはそのまま2&3列目シートの足元空間に使われ、2列目シートは最大で360mm(先代比+25mm)、3列目シートは100mm(先代比+55mm)もの拡大を実現した。また、2&3列目シートは階段状に着座位置を高めるシアター・レイアウトを採用しており、2列目シートは1列目に対して40mm高く、3列目シートは2列目に対して50mm高い。これにより後席の乗員にも前方視界が確保され、長距離移動のときなどでも快適な車内空間を演出する。

運転席についても触れておこう。インパネのデザインは先代と同様に水平を基調としたで、インパネに配されたCVTのセレクター・レバーや中央に集約された各種操作スイッチなど、非常に操作がしやすいもの。メーター類はデジタル表示をメインとしたデザインに一新され、ダッシュパネル上の盛り上がったメーターフード内に速度計や回転計、燃料系ほか各種インフォメーションを表示する。

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