ケータハム・セブン・スプリント

公開 : 2017.02.02 05:50  更新 : 2017.05.29 18:33

■どんな感じ?

スプリントの車重は、たったの490kg。パワー・ウェイト・レシオは163ps/トンという見事な数字だ。

0-100km/h加速6.9秒、最高速度160km/hは控えめに思えるが、着座位置は路面すれすれで、ドアは薄っぺらで取り外し式というクルマとしては、高性能といえる部類である。

10.9kg-mのトルクもそう強力とは思えないが、155幅のタイヤにスモークを上げさせるには十分だ。

走りを楽しめるポテンシャルは文句なしだが、まずはこのクルマに乗り込めるかどうかという関門がある。スプリントのベースとなる160の全幅は1575mmで、キャビンの幅はその半分をやや上回る程度。標準以上の背丈のドライバーが、ルーフを装着したまま乗り込むさまは、さながらヨガのような動きだ。

よしんば乗り込めたとしても、レッグ・ルームはきわめて狭く、腕を休めるスペースにも事欠く。実際、右腕はドアのために切り欠かれたボディへ、左腕はトランスミッションを覆うトンネルへ、自然と置かれることになる。実にタイトだ。

3気筒に火を入れると、ボディは古き佳きスポーツカーの如く震える。しかし、一旦回り出したエンジンは、モダンなフィールだ。2500rpmからブーストが掛かり始め、スロットルを抜けばターボ特有のフラッターが発生する。

クロス・レシオのギヤボックスはタイトで、やや引っ掛かる感触があり、こちらはモダンとは言い難い。ニュートラルから1速へ押し込むときには、数cmしか動かしていないような感触だが、左右も狭いゲートゆえに、期待したより素早いシフト・チェンジを叶えるのはむずかしい。

ナローなエイヴォン製タイヤのグリップは、湿った冬道では低いが、シャシーとのバランスは良好で、情報伝達に秀でたアシストなしのステアリングは、限界ギリギリでもドライビングを楽しめる。

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