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事故調査員に聞く事故の原因 時代とともに状況変化 問題は携帯の使用

2019.02.23

エアバッグは宝の山 余裕が大切

さらに、最近の技術の進歩によって、もうひとつ、事故解析に大いに役立つ、まるで宝箱のような情報が得られるようにもなっている。だが、まことに腹立たしいことに、ゲーリーたちがつねにその情報にたどり着けるわけではないという。

その宝の箱とは、いまやほとんどクルマが装備しているエアバッグのECUだ。このECUは非常に高感度な衝突検知装置として機能しており、車速や、旋回時の角加速度などをつねに監視し、そのデータを記録している。

米国では法律で、ゲーリーのような事故調査担当者にも、こうしたデータへのアクセス権が認められているが、英国にそうした制度はない。

「エアバッグのECUから得られるデータは、事故の原因究明に非常に有用です。なにしろ衝突の5秒前から数秒後までの情報が詰まっているのです」とゲーリーは残念そうに話す。


ゲーリーは、トヨタやボルボといった、ECUのデータを確認するためのパスワードを開示しているメーカーがある一方で、開示を行っていないところのあるという。「そんなものは存在しないとまで言うメーカーもありますが、実際にはデータは存在しているはずです」

ゲーリーは一例として、自動車とオートバイの双方で死傷者が発生した衝突事故の記録を見せてくれた。事故直前におけるクルマの正確な速度と減速度合、それにステアリングへの入力とオートバイに衝突した際の衝撃値まで、10分の1秒単位で確認することができた。これこそ、まさにゲーリーが欲しているデータだが、多くの場合、このデータを入手することは出来ないのだ。

数年前、EU全体でこうしたデータの提供を義務付ける動きがあったことをゲーリーに話すと、「そうした動きがあったのかも知れませんが、寡聞にして知りません。自動車メーカーの政治力は侮れません。データの提供を阻止しようという圧力があるのかも知れませんが、その理由がわたしには理解できません」

大変な仕事だが、現代の路上はかつてなく安全になっているとゲーリーは強調する。新しい技術の恩恵は大きいが、世の中も変化しているという。

「すべてのドライバーが安全性評価のNCAPで5つ星を獲得したクルマに乗りたいと思っています。安全性がクルマの重要なセールスポイントになっています」

そう、たしかにその通りだ。だから、せめて運転中くらいは心に余裕を持つことにして、携帯電話はそっとしておこう。

 
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