ついにランチア復活 新型イプシロン、航続距離403kmの高級EV誕生 イタリアらしさ強調

公開 : 2024.02.15 18:05

ランチア初の市販EVとなる新型イプシロン、航続距離403km、最高出力156psの新世代パワートレイン搭載。「イタリアらしさ」を追求した高級感ある内外装デザイン、まもなく欧州で販売開始。

「イタリアらしさ」追求した上級モデル

イタリアの自動車メーカーであるランチアは2月14日、新型EVのイプシロン(Ypsilon)の詳細を発表した。コンセプトカーのような大胆な外観、新しい車載OS、最長403kmの航続距離を持つBセグメント・ハッチバックである。

ランチア初の市販EVであり、まずは「イタリア家具の世界からインスパイアされた」という特別仕様車「カッシーナ」が1906台限定で販売される。この台数は同社の創業年にちなんだもので、その後は標準仕様の量産に入ると見られる。

ランチア・イプシロン 特別仕様車「カッシーナ」
ランチア・イプシロン 特別仕様車「カッシーナ」    ランチア

従来車と大きく異なるデザインは、昨年公開されたコンセプトカー、プーラHPEをベースとしている。

「ボディワークは、アウレリアとフラミニアが持つソフトでエレガントな官能的なフォルムと、名高いストラトスやデルタに象徴されるモータースポーツの歴史、そして建築、家具、ファッションにインスパイアされた現代的なラディカリズムの表現が組み合わされている」とランチアは述べている。

全体的なプロファイルは兄弟ブランドのプジョーe-208にも似ているが、Y字型のダイヤモンドカット・アルミホイール、コンセプトカーと同様のデイタイム・ランニング・ライト、多角形のLEDヘッドライト、Cピラーに取り付けられたエンブレムが特徴的だ。

新世代パワートレイン搭載

リアエンドには、1970年代のラリーカー、ストラトスから影響を受けたという円形テールライトが採用され、中央に「LANCIA」の文字が並ぶ。いずれもリアガラスから突き出るような形状で、存在感を強調している。

ボディサイズは全長約4080mm、全幅約1760mm、全高約1440mmで、車両重量は1584kg。

ランチア・イプシロン 特別仕様車「カッシーナ」
ランチア・イプシロン 特別仕様車「カッシーナ」    ランチア

最高出力156ps(115kW)のモーターと51kWhのバッテリーを搭載し、1回の充電での航続距離は403kmとされる。急速充電により24分で20~80%の充電が可能で、電費は100kmあたり14.3~14.6kWh。0-100km/h加速は8.2秒、最高速度は150km/hとなる。

インテリアとしては、カネロニ(パスタの一種)をモチーフにしたベルベットシート、ダッシュボードから突き出た半円形テーブル、フラットボトムのステアリングホイールを特徴とする。

標準装備の2つのスクリーンには親会社ステランティスの新しいインフォテイメント・システム「Sala」が搭載され、ウィジェット表示のカスタマイズや音声制御機能も備わる。

ランチアは「欧州への回帰」を掲げ、2024年上半期からスペイン、ベルギー、フランスをはじめとする欧州諸国で新型イプシロンの販売を開始する予定だ。これらの国々は、「イタリア製品への愛と情熱」を基準に選ばれたという。

新型イプシロンの価格は未定だが、プジョーやオペルの兄弟車よりも高く設定される見込みである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事