経営握るクライスラーの断捨離 ハンバー・インペリアル V8(2) 本当に市販直前まで進んだV8化 未来を切り拓いた可能性

公開 : 2026.10.17 17:50

ハンバーの顧客が期待した通りの乗り味

直6エンジンでも、インペリアルは1ランク上の風格を漂わせるサルーンだった。ゆったりしたフロントシートは左右で個別にリクライニングでき、背もたれの裏側には折りたたみ式のテーブルが備わる。読書灯に灰皿、前後で独立したヒーターも標準だった。

パワーステアリングとクライスラー社製3速ATも標準の装備で、シートはレザー仕立て。ただし、当初の計画とは異なり、フロアシフトではなくコラムシフトだ。

ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)
ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

乗り心地は優しく、操縦性は至って安楽。ハンバーの顧客が期待した通りの乗り味といえる。サイドウォールが厚いタイヤにソフトなスプリングで、1.6tの車重と相まって、路面の凹凸は静かに均される。舗装の剥がれた穴による衝撃も、和らげてくれる。

魅力的な特性を与える力強いV8エンジン

力強いV8エンジンは、上品なサルーンに魅力的な特性を与えている。通常の直6エンジン版は、80km/h辺りで活気へ陰りが出るが、頼もしく速度が上昇し続ける。スムーズに変速する「トルクフライト」3速ATが、その体験を引き立てている。

予想より早くカーブが迫り、飛び込んでみるとスポーティなサルーンではないことに気付く。ステアリングは非常に軽く、市街地では指1本で回せるほどだが、旋回時は路面の感触が伝わらず心もとない。

ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)
ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

アンダーステアは、タイヤのスキール音を聞きながら感じ取り、早め早めのリカバリーが必要。ボディロールは、想像より小さいとしても。

V8エンジンのインペリアルやスーパー・スナイプが登場していたら、ハンバーのイメージは間違いなく一新されていただろう。新しい顧客を獲得し、ブランドは延命できていたはず。確かな未来を切り拓いた可能性は高いと、思わせるのに充分な体験だった。

協力:マン島自動車博物館

ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)のスペック

英国価格:−ポンド(新車時)/2万5000ポンド(約520万円)以下(現在)
生産数:12台(V8エンジン版のみ/スーパー・スナイプを含む)
全長:4775mm
全幅:1753mm
全高:1549mm
最高速度:167km/h
0-97km/h加速:11.4秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1600kg
パワートレイン:V型8気筒4473cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:197ps/4400rpm
最大トルク:36.5kg-m/2000rpm
ギアボックス:3速オートマティック/後輪駆動

ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)
ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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