経営握るクライスラーの断捨離 ハンバー・インペリアル V8(2) 本当に市販直前まで進んだV8化 未来を切り拓いた可能性
公開 : 2026.10.17 17:50
風格高いサルーンを生産していたハンバーが試みた、インペリアルのV8エンジン化。紆余曲折を挟み、市販直前まで進んだものの、クライスラーの断捨離的改革で中止になりました。UK編集部が貴重な試作車を試乗します。
もくじ
ー本当に市販直前まで進展していた
ー経営権を握ったクライスラーによる断捨離
ー威厳が香る4灯ヘッドライト
ーハンバーの顧客が期待した通りの乗り味
ー魅力的な特性を与える力強いV8エンジン
ーハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)のスペック
本当に市販直前まで進展していた
ハンバー・スーパー・スナイプとインペリアルのV8エンジン化は、紆余曲折ありつつ、前進はしていた。塗装には、新しいメタリックカラーを設定。アクセルリンケージなど、細かな問題も解決されていった。
目標では1966年7月に量産を本格化し、10月のロンドン・モーターショーで発表する、という段取りだった。1967年秋の登場予定で、162psと173km/hが主張されていた、ローバー P5B 3.5リッター・サルーンへ先手を打つ狙いがった。

ハンバーの内部資料によると、スーパー・スナイプ V8の車重は1600kg。クライスラー譲りのパワーステアリングを採用し、本当に市販直前まで進展していたようだ。
当時の筆者も、公開された1枚の技術資料を目にしている。最高出力はグロス値で197ps、ネット値で152ps。0-97km/h加速は11.4秒で、最高時速は時速100マイル(約161km/h)以上と記されていた。
経営権を握ったクライスラーによる断捨離
ところが、最終的にディーラーへ並ぶことはなかった。その有力な理由といえるのが、1966年末にルーツ・グループの経営権がクライスラーに握られたことにある。
クライスラーは、利益率の低いモデルを終売するという、断捨離的な改革を即座に実行したのだ。サンビーム・タイガーIIが発表された傍らで、スーパー・スナイプとインペリアルは、1967年3月に生産が打ち切られてしまう。

ハンバーの大型モデルが消えたことで、ロンドンにあったブリティッシュ・ライト・スチール・プレッシングス社と、インペリアルの内装を手掛けていたコーチビルダー、スラップ&マバリー社は閉鎖。クライスラーが掲げたモデル開発が進められた。
他方、V8エンジンの試作車は市場へ密かに放出される。1971年のAUTOCARでは、中古車販売の欄へ、1966年式インペリアル V8が795ポンドで掲載されている。
威厳が香る4灯ヘッドライト
「GDU 492D」のナンバーで登録された1966年式も、そんな試作車の1台だった。1968年から1973年末まで、レジナルド・ルーツ氏が使用し、ハンバーを好んだアレックス・ソーヤー氏へ売却されるが、1986年まで放置されてしまう。
それを発見したのは、「ポスト・ヴィンテージ・ハンバー・カークラブ」のアラン・バーンズ氏。2008年にレストアされ、現在はマン島自動車博物館の展示車両として来場者を喜ばせている。計16台が並ぶ、ハンバー・コーナーを構成する1台だ。

全長は4775mmと、現代の基準では大きすぎないが、ジャガーMkXが発売されるまでは、英国の量産車では最大のモノコックボディだった。後端が尖ったルーフラインは個性的で、ヘッドライトは威厳が香る4灯。マルーンの塗装色が、良く似合う。
バッテリーやブレーキサーボなどが移設され、エンジンルームにはクライスラー社製のV8エンジンがスッキリ収まる。レッドのエンジンブロックにブラックのエアクリーナーボックスは、事前に公表された資料と一致する特徴だ。










































































































































