美貌を濁すリアシート追加 ジャガーEタイプ & ロータス・エラン『+2』モデル(1) 2シーターへ迫る加速 高級路線狙ったチャップマン

公開 : 2026.06.21 17:45

美しいクーペボディを拡大し、後席が追加されたジャガーEタイプ 2+2 とロータス・エラン +2。走りへの影響は最小限に、巧妙な設計で商業的な成功を導きました。UK編集部が2台の魅力へ迫ります。

経営会議によって導かれた2+2のEタイプ

小さなリアシートを得たジャガーEタイプ 2+2は、オリジナルの完璧さを濁すと考える人は少なくない。ルーフラインはやや不自然に後方へ膨らみ、ホイールベースは9インチ(約230mm)も長い。

美しさが追求された2シーターのEタイプ・クーペが、純粋な感性から誕生したとするなら、2+2は経営会議によって導かれたと表現しても過言ではない。より多くのニーズへ応えるビジネスとして、必要とされたモデルだった。

ライトブルーのジャガーEタイプ 2+2と、ブラックのロータス エラン +2S
ライトブルーのジャガーEタイプ 2+2と、ブラックのロータス エラン +2S    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

しかし、2+2は必然的でもあった。同社は既に、1950年代のXK150でリアシートを与えていた。欧州市場では、高級な4シーター・クーペに注目が向けられていた。

ジャガー創業者のウィリアム・ライオンズ氏は、体格の良い欧米人でも快適な、広々としたキャビンの需要を見越していた。Eタイプにも、ひと回り大きいボディが必要だと当初から理解していた。フォード・サンダーバードに対抗しうる、選択肢として。

コスト削減へ務めつつ北米を中心に人気獲得

Eタイプ 2+2の登場は、XJ6やXJ-Sの原型が生み出されたことを意味した。商業的にも成功を収め、1968年にアップデートを受けたS2 クーペを凌ぐ販売を記録している。

特に北米の人気は高く、1971年までに約1万1000台の2+2が生産されたが、8506台が左ハンドルで作られている。またV12エンジンを積むEタイプは、2+2のプラットフォームを採用してもいる。

ライトブルーのジャガーEタイプ 2+2と、ブラックのロータス エラン +2S
ライトブルーのジャガーEタイプ 2+2と、ブラックのロータス エラン +2S    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

Eタイプ 4.2 S1 2+2の発表は、1966年のスイス・ジュネーブ・モーターショー。それまでのジャガーらしく、可能な限り新設計の部品は抑えられ、コスト削減に務められていた。伸びた全長に合わせて、全幅やトレッドが広げられることもなかった。

チームは最善を尽くしたはずだが、2シーターのEタイプと並ぶと、美しさで霞むことは否定できない。特別に改造された一部には、4灯ヘッドライトも採用されているが。

2シーター同等の加速力で最高速度は223km/h

ドアは約215mm延長され、サイドウインドウの下にはクロームメッキ・トリムがあしらわれた。後席の高さを確保するため、全高は約50mmプラス。フロントシートは僅かに持ち上げられ、後ろに座る人のつま先が入るよう工夫された。

S1 2+2のフロントガラスは40mm高いが、S2ではガラスの付け根が伸ばされ、傾斜を強めることで印象を和らげている。後席を倒せば、広い荷室を作ることも可能だった。

ジャガーEタイプ S1 4.2 2+2 (1966~1971年/英国仕様)
ジャガーEタイプ S1 4.2 2+2 (1966~1971年/英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

ボディは膨らみ車重は約90kg増えたが、ギア比の調整で2シーターと同等の加速力を備え、最高速度は223km/hに届いた。当時のAUTOCARが確認した、160km/h巡航時の燃費は7.1km/Lで、空力への影響も小さかった。

パーセルシェルフの追加や断熱材の増量、ヒーターやベンチレーションの強化、3速ATの設定などで、乗りやすさにも配慮された。最小回転半径は、拡大していたが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ジャガーEタイプ & ロータス・エラン『+2』モデルの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事