1000km近い取材で分かった『フォルクスワーゲンTクロス』ベストセラーの理由 本国デビュー7年であらゆる面が熟成 長距離でとにかく疲れない!

公開 : 2026.10.15 12:05

2024年のマイチェンを経て現在は後期型になっている、『フォルクスワーゲンTクロスTSI Rライン』を吉田拓生が取材します。今回は1000km近くをドライブすることで、あらゆる面で熟成したことが分かったようです。

熟成されたベストセラー

先日宮城県を訪ねる際、『フォルクスワーゲンTクロスTSI Rライン』を長距離で取材することができた。ちなみにTクロスは2024年のマイナーチェンジを経て、現在は後期型になっている。

前期、後期とも試乗会などで何度かステアリングを握っているが、いつも短い距離ばかり。こういったモデルは山道を飛ばして本質を探るというよりも、自分の愛車のようにして長い距離を乗ってみると見えてくるものがあるので、今回は良いチャンスだ。

『フォルクスワーゲンTクロスTSI Rライン』を長距離で取材。
『フォルクスワーゲンTクロスTSI Rライン』を長距離で取材。    吉田拓生

エンジンはお馴染みの1.0LのTSIで、トランスミッションは7速DSGが組み合わされる。駆動はもちろんFFだ。インテリアは黒っぽくまとめられているが、シート表皮は様々な素材が組み合わされ手が込んでいる。

取材車がおろし立てということもあるけれど、ドアの開け閉めのガッチリした手応え、そしてシート地の張りの強さにドイツの新車らしさが感じられた。Tクロスはゴルフではなくポロをクロスオーバー化したモデルなので、全長は4135mmとコンパクト。それでも前後シートまわりの空間はしっかりと確保されており、5人乗りではあるが、少なくとも大人4人は快適に過ごせそうだ。

走りはじめてすぐに「いいじゃない!」と思ったのは、7速DSGのギア捌きだった。シフトスピードは以前から素早かったが、変速の最中に迷う感じや、クラッチが繋がる瞬間のラフさが気になっていた。だが今回は、ロボット的に制御されていたギア捌きにしっとりとしたインテリジェンスが感じられたのだ。

Tクロスは本国デビューから7年が経過しているので、恐らく現在のモデルはあらゆる面が熟成され尽くしているのだろう。

快適、でも山道も楽しめる

ボディはカッチリとしていて、対するアシも若干硬めというのはドイツ車の常套だが、直進安定性が高く、ボディとシートの減衰も優秀なので東北道の巡航も快適にこなすことができた。

もちろんACCとレーンキープによるトラベルアシストに結構な時間お世話になったが、レーンキープはライバルと比較すると少し制御が大雑把だと感じた。

直進安定性が高く、ボディとシートの減衰も優秀なので東北道の巡航も快適にこなすことができた。
直進安定性が高く、ボディとシートの減衰も優秀なので東北道の巡航も快適にこなすことができた。    吉田拓生

行きは敢えてオーディオをつけずに走ったのだけれど、このボディサイズにしては風切り音やフロアまわりから入ってくるロードノイズが少なく、実際よりも少し大きめのクルマに乗っているような感覚が楽しめた。

今回は寄り道をして那須あたりでワインディングを走ってみたところ、Tクロスは想像以上に正確なコントロール性を見せてくれた。ルノー・メガーヌRSなどがまさにそうだったのだが、優れたFFモデルはスロットル操作で駆動輪ではないリアタイヤをうまく手懐けられる。それだけ一体感があり、フィードバックが豊かと言い換えてもいいだろう。

1Lターボのエンジンは決してパンチがあるという感じではないし、ハンドリングに特徴があるわけでもない。かといって何かが足りないという感じもしないから、走るステージを選ぶこともない。これこそフォルクスワーゲンらしさだろう。今回は1日で450kmほど、往復で900km以上を走ったのだが、とにかく疲れない。いつまでも淡々とドライブできるクルマなのである。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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