【鈴木俊宏社長に訊く】スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』が目指したのは、ガソリン車から乗り換えても違和感がないこと 海外で販売の可能性は?

公開 : 2026.10.15 11:45

スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』の発表会で、同社の代表取締役社長である鈴木俊宏氏に短時間ながらお話を伺う機会を得ました。航続距離300kmを目指した理由、一番こだわったポイントなどを篠原政明がまとめます。

当初はRWDで検討されていた

スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』の発表会で、同社の代表取締役社長である鈴木俊宏氏に短時間ながらお話を伺う機会を得た。

このeスカイ、開発当初でコンセプトが大幅に変わったのだという。他社のようなスーパーハイトワゴンを考えていたのか尋ねたところ、プラットフォームのレイアウトをどうするかで喧々諤々があったようだ。

スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』の発表会にて、同社の代表取締役社長鈴木俊宏氏。
スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』の発表会にて、同社の代表取締役社長鈴木俊宏氏。    スズキ

このあたりは、eスカイのチーフエンジニアである商品企画本部の津幡知幸氏が補足してくれた。聞くところによると、開発当初はRWD(後輪駆動)も考えていたという。

コンパクトなモーター(eアクスル)をリアに搭載して後輪を駆動するRWDのEVは、わりと多く見かける。スズキでも試行錯誤はあったが、減速時の回生の効き方が弱いなど様々な問題があり、やはり「普通の軽から乗り替えても違和感のないEVを」ということで、コンベンショナルなFWDとなった。

また、低価格モデルとして2シーター案もあったが、同様の考え方から今回のeスカイのスタイルに落ちついた。こうした喧々諤々を『チーム・スズキ』という大部屋でやって開発できたことが、結果的に良かったとしている。

海外でeスカイを販売する可能性

鈴木社長の話に戻そう。まず、eスカイのプラットフォームについてはこう語っている。

「新たに専用設計されたものですから、これは発展させていきたい。欧州市場も視野にないわけではありませんが、まずは国内市場でしっかりと売っていき、作り込んでいかないとグローバルに受け入れられるクルマにするのは、なかなか難しいでしょう。

「まずは国内市場でしっかりと売っていく」と語る鈴木俊宏社長。
「まずは国内市場でしっかりと売っていく」と語る鈴木俊宏社長。    スズキ

それでも、今の状態でも海外で軽自動車を求める声は結構あり、海外で販売する可能性はかなり高くなっています。特に欧州では『小さいクルマでもいい』という人は少なくないので、ひょっとしたら、日本で売るよりもeスカイがヒットする可能性は高いかもしれません。

アセアンでは充電インフラなどの問題もあり、EVに関しては判断しづらい部分はあります。また、グローバルに攻めていこうとすると、欧州などで検討されているIAA(産業加速法)をクリアしていかなければなりません」

ワールドワイドで展開するための課題

当然のことながら、ワールドワイドで展開するには課題が多いようだ。

「現調化と価格や品質の作り込みをどこまでやれるか考えていかなければなりませんし、なかなかハードルは高いでしょう。ですが、スズキはインドでの生産が多いので、インドでの作り込みや量産化の量産化のメリットを見出しながら、先行するメーカーに対抗していくことが今後の課題と思われます。とにかく、品質やコストの作り込みをどこまでやれるかを考えながらやっていく必要があるでしょうね。

当然のことながら、ワールドワイドで展開するには課題が多い。
当然のことながら、ワールドワイドで展開するには課題が多い。    スズキ

また、インドで販売しているスズキ車を日本でも欲しいという要望もあります。ですが、インド、日本、欧州では、それぞれ安全基準などはその市場に合わせた作り込みを行うため、クルマ作りに違いがあります。

そのため法規に適合するような対応には差があるので、日本では販売できないで諦めて頂いている例が多いのです。とはいえインド仕様が全く日本に適合しないわけではありませんし、インドは欧州の法規を見ているので、今後はもっとグローバルなモデル展開も考えられるでしょう」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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