トヨタ、次世代ディーゼル・エンジンの技術説明会を開催

2015.08.20

トヨタは、グローバル展開する次世代ディーゼル・エンジンについて、報道機関向け技術説明会を開催した。

新開発のGD型エンジンは、走りやすく、燃費に優れ、静かでクリーンなディーゼル・エンジンを目指しており、その開発方針は、排気量の最適化、燃料と空気の混合法の改善、触媒システムのリニューアルという3つに大別できる。

排気量については、燃費と機械騒音の観点からエンジン骨格を最適化し、従来の3.0ℓを2.8ℓへ、2.5ℓを2.4ℓへ変更。排気量縮小にともない発進トルクや排気性能が悪化しないよう、吸入、過給、燃焼温度、浄化能力を以下の方法で改善した。

まず、吸気については、高効率で低流動の吸気ポートを新開発。強い旋回流でかき混ぜる発想の燃焼から、弱い旋回流でも空気が入りやすく精密にコントロールできる燃焼へ転換した。

過給の面では、ターボチャージャーをトヨタ内部で新たに開発。従来型より30%小型化する一方、タービンホイールのシャフト部の内部構造見直し、高流量ベーン・高応答アクチュエーターの採用などにより応答性を50%高めた。

燃焼については、燃焼室内の空気利用率を向上するために、2段階の燃料噴射方式を採用。ピストンが上死点到達時には、メイン噴射として燃焼室外側に燃料を噴霧するが、その後、微小なアフター噴射を行うことで、燃焼室中央の空気を使い切る方式とした。

また、燃焼エネルギーを外に逃さず吸入空気量を高める燃焼室表面コーティング、TSWINを世界初採用。これはシリカで強化した多孔質の陽極酸化膜で燃焼室をコーティングすることにより、高温では断熱特性を発揮して燃焼ガスを高膨張する一方、ある温度になると放熱特性を発揮し吸入空気の高密度化を実現するもの。トヨタはこれにより、ピストンから奪われる熱エネルギーを約30%低減したとしている。

触媒については、コンパクトでありながら浄化率の高い尿素SCRシステムを採用。最大99%のNOx浄化率を実現しながらも、サイズを30%縮小し、組み合わせるエンジンや環境を選ばないシステムに一新した。

これらの効果により新開発のGDエンジンは乗用車として世界トップの最大熱効率44%を達成するだけでなく、発進から豊かな加速を感じられ、始動時から静粛性に優れるものになったという。なお、このエンジンは国内では最初に新型ランドクルーザー・プラドに搭載される。

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