これでミニが悪かったとしたら……

クーパーS仕様のパワートレインは、シャシーにそれとわかる影響を及ぼす力を備えているか? そして、このクルマが走り志向のドライバーの琴線に触れるクロスオーバーと言えるのだろうか。

正直に申し上げよう。それは疑わしい。ハンドリング・バランスは確かに優れており、その点ではライバルたちより長がある。それにしても、だ。

このカントリーマンは、まさにミニの文法通りに走る。コーナリングはクイックかつフラットで速いし、グリップは強力で、ステアリングはストロークを詰めた引き金のように鋭く反応する。

バンプの処理は、小さければもちろん、多少大きくても上手くいなし、同セグメントのライバルはもちろん、ミニのバリエーションの中でも円熟味で一頭地を抜く。

それでも、大きく鋭い突き上げに対しては、蹴つまづいたり落ち着きを失ったりするような挙動を見せる。先代カントリーマンは、走りの完成度が低かった。ロールは激しく、ステアリングは鋭さに欠け、いわゆるゴーカート・フィールの恐ろしい面ばかりが受け継がれていた。

新型ではそれが是正され、意図した通りのクルマになった。敏捷で、猟犬の如く狙い通りのラインをトレースする、ミニらしいクルマだということだ。むろん、‘ミニサイズ’ ではないが。