スイスのコレクターのクルマが放出されたボナムスのスパ・クラシック・セール。最高落札額は1958年型メルセデス・ベンツ300SLロードスターの1億4088万円でした。

ボナムス・ジ・スパ・クラシック・セール

●2017.05.21　スパ・フランコルシャン／ベルギー
ボナムスはアストン・マーティン・セールを終えた翌週には、舞台をベルギーに移しスパ・フランコルシャンでのサーキット・イベントにリンクしてオークションを開いた。

 
スパ・ウェザーと呼ばれる山間部での急変する天候から、スパ・フランコルシャン・サーキットでは幾多のドラマが生まれてきた。そこを舞台に各時代のマシンが集結してヒストリックカーによるレースを行うのがスパ・クラシックだ。その一プログラムとしてサーキット内で行われたのが、ボナムス・ジ・スパ・クラシック・セールである。

このオークションは、イベントの性格に合わせてF1からツーリングカーまで各カテゴリーのレーシング・マシンが用意されることが特徴だ。今年の一押しとなったのがかつてミハエル・シューマッハやネルソン・ピケがドライブしたベネトンB191フォードだ。このほかオゼッラFA1Gアルファ・ロメオや、1970年代のスポーツカー・レースで活躍した1976年型ポルシェ 934/5 クレマー・グループ 4や1969年型アルファ・ロメオ GTA1300 ジュニア・ワークスカー、新しめでは1989年型アウディ V8 クワトロ BELGA プロカー、1986年型BMW 325I JUMA グループN、1996年型フェラーリ F355 チャレンジなどが並んだ。

今回のもうひとつのニュースは、スイスのコレクターが所有していた収蔵車が放出されたことだ。ダークブルー・メタリックのボディカラーで揃えられた’60年代のスポーツカー、GTモデルを中心に、2台のロールス・ロイスを始めメルセデス・ベンツ 300SL ロードスターが並んだ。これらの車両は城の中に収められていたことから、バーン・ファインドならぬキャスル・ファインド車両と呼ばれていた。

オークションにはもちろんナンバー付の新旧様々のロードカーも用意され、スポーツカーからステーションワゴンまでの65台が来場者を出迎えた。

ここで最高落札額を記録したのはキャスル・ファインドの1958年型メルセデス・ベンツ 300SL ロードスターの1億4088万円で、100万ユーロを超えたのはこの1台だけだった。ここに1958年型ポルシェ 356A スピードスター1600スーパー／4025万円、1989年型ポルシェ 911 3.2 ナローボディ・スピードスター／3738万円、2006年型フェラーリ・スーパーアメリカ／3666万円、1971年型メルセデス・ベンツ 280SE 3.5 カブリオレ／3594万円と順当な顔ぶれがベスト5に並んだ。

乗り手を選ぶレーシング・マシンは惨敗で、2台のF1マシンからポルシェ934/935、ポルシェ 911 タイプDP35は、本気の購入希望者が居なかったのか最低落札額まで達せず流れてしまった。また後年に製作されたジャガー Eタイプ 3.8ℓ セミライトウェイトやロータス・エラン 26R FIAスペックも評価が微妙なだけに入札が進まず流れている。一方でアマチュアでも乗れる500万以下のコンペティション・モデルは人気で、ほとんどが落札されていた。

このほか高額になってしまったアルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ・アッレジェリータやGTA1300 ジュニア・ワークスカー、オースチン・ヒーレー 100M ル・マン・ロードスター、ポルシェ 356A 1600S コンバーチブルDなども出品されたが、どれも最低落札額まで届かず流れている。

昨今のオークションの例に違わず、愛好家が主な参加者となったため、価格に対してシビアな判断がなされていた。特に高額な車両は、価格に対して納得できる内容／ヒストリーが備わっちないと入札が進まない傾向が見られる。ちなみに今回の落札率は70.8%だった。