8代目はミドシップ 米国では650万 シボレー・コルベット・スティングレイ C8

公開 : 2019.10.18 09:50

コルベットを印象付けるスモールブロック

第一印象は圧倒的に良い。アピアランスはスマートで仕上がりも良く、インテリアはプラスティック製パーツの放つ香りも、安っぽい存在感もぐっと先代から抑えられた。

人間工学的には理想的というわけではない。エアコンや送風位置の変更スイッチの位置は低くて見にくいし、運転席は助手席側よりも取り付け位置が高い。シートポジションを一番低くしても、高すぎるように感じる。背の高いドライバーなら、頭上空間に余裕は感じられないだろう。

シボレー・コルベット・スティングレイ(C8)
シボレー・コルベット・スティングレイ(C8)

コルベットのトレードマークでもあるタルガトップは受け継がれ、ルーフパネルは取り外すことが可能。コンバーチブルも後日追加となる予定だ。

ステアリングホイールは上辺と下辺が直線になった形状。奥に深いダッシュボードと、強く傾斜のついたフロントガラスのおかげで、映り込みは激しい。静的部分では細かな不満があることも事実だが、コルベットC8のポジティブな印象に大きな影響はない。

プッシュロッド式のV8エンジンを搭載するというGMの決定は、正解だったと走り出してすぐに分かる。技術的な洗練度は高いとはいえないが、エンジンの存在感は強く、カリスマ性すら感じられる。

ドライバーの後ろに搭載位置が変わったが、以前のようなエンジンからの低音の唸り声は穏やかになっている。スロットルレスポンスはシャープで、中回転域はの吹け上がりは鋭い。レッドゾーンは6600rpmと低めだが、さらに高回転域まで回るライバルユニットの一部よりは、サウンドのドラマチックさは強い。

安定性と安心感が飛躍的に向上

先代の7Cと比較すると生々しさも鎮められたが、ミドシップ化で加速性能は向上。0-96km/hダッシュは、ローンチコントロールを使用すれば約3秒。シフトパドルを両方同時に引くことで、リアタイヤをバーンアウトさせる隠し技も付いている。

今回は一般道だったこともあり試さなかったが、通常のフルスロットル加速は試した。クルマに備え付けのタイマーで計ったところ、3.5秒で96km/hに到達できた。

シボレー・コルベット・スティングレイ(C8)
シボレー・コルベット・スティングレイ(C8)

C8の大きな進化は、クルマの安定性とドライバーの安心感が飛躍的に向上したところにある。先代のC7では、カーブの続く道を飛ばして走らせると、エントリーグレードですら不安定さを感じることがあった。だがC8は強力なグリップで、クルマが弾き出されそうな気配すらない。

タイトコーナーの出口でアクセルペダルを一気に踏み込むと、リアタイヤのグリップが不足することはある。だが中速域以上のコーナーでは、路面に張り付いたかのように安定している。

その安定性を支えているのが、柔軟な足まわり。オプションのアダプティブ・ダンパーは、路面のうねりや起伏をうまく処理する。ソフトなツアーモードでも、硬めのスポーツモードでも同様だ。一方で強力なグリップがゆえに、一般道の速度域ではステアリングホイールから得られる情報量が限定的。

ステアリング・レシオは充分にクイックで、レスポンスも即時的だから、横方向のGを高めていく自信を揺らがせることはない。しかしステアリングホイールに伝わる、タイヤや路面の感触がほとんどない。サーキット走行レベルならフィーリングは改善するかもしれないが、今回は試せなかった。

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