実は007初のボンドカー サンビーム・アルパイン UK版中古車ガイド(1) ル・マンでも活躍
公開 : 2025.06.15 17:45
素晴らしいパッケージングのロードスター、アルパイン 映画007初のボンドカーに採用 シリーズIIとVが最も高バランス 気品漂う雰囲気 ライバルを凌駕する快適性 UK編集部が魅力を再確認
素晴らしいパッケージングのロードスター
今はなきサンビームが1959年にリリースしたアルパインは、初めから素晴らしいパッケージングのロードスターだった。当初のライバル、MGAより快適で、垢抜けた現代的なスタイリングは空力特性に優れていた。
美しいボディはモノコック構造。強固に組まれたシャシーレッグをフロアに備え、高い剛性を誇った。チューブラーメンバーがホイールアーチからバルクヘッドを結び、好ましい操縦性を実現していた。

パワートレインは同時期のサンビーム・レイピアと共有で、エンジンはOHVの直列4気筒。サスペンションは前がウイッシュボーン式で、ディスクブレーキも採用していた。きれいに折り畳まれるソフトトップは、風雨を充分にしのげた。
狭いながらもリアシートを備え、予算次第でアルミ製ハードトップやヒーター、トノカバー、ワイヤーホイールなども選択可能。やや車重は重めだったが、モータースポーツでも活躍し、1961年のル・マン24時間レースでは熱効率指数賞を獲得している。
007のボンドカーに 1725ccエンジンでMGBに対抗
一般道では快適なだけでなく、洗練された走りや優れた操縦性を、自動車メディアは高く評価した。トランスミッションは4速マニュアルだが、3速と4速にオプションのオーバードライブ・ギアを追加でき、6速のように操れた。
1960年にアルパイン・シリーズIIへアップデート。操縦性と最高出力が向上し、映画「007は殺しの番号」では史上初のボンドカーに選ばれている。エンジンの柔軟性や、排気音の静かさなども、評価を伸ばすことに繋がった。

1963年にシリーズIIIとなり、リクライニングシートや可動式ペダルなどを獲得。フェンダー内に燃料タンクを移し、スペアタイヤの位置を垂直にし、荷室も拡大された。後方のサイドウインドウが固定式になり、気密性を改善。吸気バルブは大径化されている。
1964年のシリーズIVでは、北米仕様向けにATをオプションで追加。シリーズVでは1725ccエンジンを獲得し、動力性能で上回ったMGBへ対抗した。他方、GT仕様にはソフトトップが備わらず、取り外しできるハードトップが用意されている。
オーナーの意見を聞いてみる
「当初はMGCを探していました」。と、アルパイン・オーナーのエド・エラート氏は認める。「ところが、試乗してみたら重すぎるように感じたんです。MGBも検討しましたが、その時に偶然、1725ccエンジンを積んだシリーズIIが売りに出ていたんですよ」
「2006年に購入して以来、愛着は増していく一方でした。アルパイン・オーナーズクラブの会報誌の編集も、長年担当してきました。2016年に、このシリーズIIと出会ったんです。レイク・ブルーはボンドカーと同色。ローンを組んで、購入は即決でしたね」

「1970年頃にレストアされていて、その写真も残っています。丁寧に作業されたようで、今でも状態は良好です。BBCのトップギアでは、ジェームズ・ボンドに関する企画の撮影で、このアルパインが使われています」

































































































































































