航続距離339km プジョーe-208 GT 既に仕上がりは好印象 乗り心地は要改善

公開 : 2019.10.22 09:50

フランス車らしいおしゃれなデザインと、EVの実用性の高さを兼ね備えたプジョーe-208。既に全体の仕上がりは好印象ですが、猫足で名を馳せたブランドへ期待する乗り心地には達していないようです。ポルトガルで試乗しました。

ガソリンやディーゼルと並列のEV

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
クルマのコンセプトはシンプル。ダウンサイジング・エンジンではなく、電気モーターで走る新しいプジョー208だ。

アピアランスの主張も強くはない。ルノーのゾエやフォルクスワーゲンID.3など、自動車メーカーがEVをリリースする際、既存モデルとは異なる、まったく新しいクルマを作り上げる場合が多い。ID.3には、ポロとは異なるデザインと構造に加えて、サブブランド名も与えられている。

プジョーe-208 GT
プジョーe-208 GT

一方でプジョーe-208の場合は、通常の208と同じプラットフォームがベース。エクステリアやインテリアのデザインも同一で、同じ生産ラインで生み出される。違いとしては、EV化のために大きなバッテリーを搭載する都合上、リアのトレッドが広げられサブフレームが強化されていることくらい。

プジョーが構築した戦略もシンプル。目を引くデザインで多くのドライバー候補をディーラーへと引き寄せ、生活や志向にあったパワートレインを選んでもらう、というもの。多くはガソリンになるだろう。長距離を定期的に走るのなら、24.7km/Lの燃費を誇る1.5Lのディーゼルという選択肢もある。

電気モーターが良いと思えば、このe-208が控えている。紙面上の性能は充分良く見える。リチウムイオン・バッテリーの容量は50kWh。航続距離はより実環境に近いWLTP値で339km。平均的なドライバーなら、週に1回充電をすれば充分にまかなえるだろう。

100kW急速充電器にも標準対応

充電時間は、家庭用コンセントから行うと20時間ほどが必要。7kWの充電容量を持つ充電器があれば、8時間に短くなる。高性能な急速充電を用いれば、空の状態から80%の充電率まで、1.5時間で完了するという。

e-208は標準で100kWという高い受電容量に標準で対応しており、短時間化を実現しているのだ。ポルシェの場合、14万ポンド(1862万円)もするのに、100kW充電へ対応するにはオプションを選ばなければならない。

プジョーe-208 GT
プジョーe-208 GT

EVを選ぶ際、最も気になるのが航続距離と価格との関係性だが、ライバルのクラスメイトと比較をしてみよう。ルノー・ゾエの場合、52kWhのバッテリーで394kmが走れ、価格は2万5670ポンド(341万円)。価格はe-208よりも安く、走行可能な距離は長い。

フォルクスワーゲンのID.3は、中間グレードの58kWhバッテリーモデルの航続距離は420km。だがフランス生まれの両車より価格は高くなる。一方で日本からリリースされるホンダeは不思議なほどに距離が短い。価格は2万6000ポンド(345万円)以上といわれているが、航続距離はわずかに218km。

英国にはプジョーe-208と基本的なハードウェアを共有するボクソール(オペル)・コルサ-eもある。2020年4月の発売で、価格は2万6790ポンド(356万円)となる見込み。突然コンパクトカーのEVモデルが増えることになる。

まだプジョーe-208は調整が仕上がっていないプロトタイプということで、試乗も短時間だった。英国でしっかり試乗する機会を得るまでは、しっかりしたレポートは難しい。

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