【詳細データテスト】アウディe-トロン 速いが刺激はない 新技術は持ち腐れ 快適性と静粛性は上々

公開 : 2021.06.13 11:05  更新 : 2021.06.28 09:23

EV初のアウディSモデルは、モーターの利点を活かした先進的なトルクベクタリングに期待が膨らみました。しかし、限界領域に達しないと作動しないシロモノで、日常使いでそのメリットを味わうことは難しいものでした。

はじめに

電動車には、これぞ福音と思うひとびとと同じくらい、懐疑的な目を向けるひとびとがいる。彼らを味方に引き込むのには、まだ時間がかかりそうだ。しかし、テクノロジーが進歩するにつれて、進展をみせている。

われわれがいま目にしているそれは、妥当な値付けのされた目を引くフルサイズのファミリーカーだったり、購買意欲をそそられるコンパクトカーや小型クロスオーバーだったり、高級サルーンだったりする。

テスト車:アウディe-トロン S クワトロ
テスト車:アウディe-トロン S クワトロ    MAX EDLESTON

また、ここ数年でパフォーマンスカーも急増し、ドライバーズカーと認められるようなEVもちらほら見つけられるようになってきた。

今回のテスト物件は、間違いなくそのパフォーマンス系EVだ。このe-トロン S クワトロで、はじめてアウディはEVにSバッジを与えた。30年近く前、100ベースのS4に用いて以来、インゴルシュタットの高性能モデルの証となっているプリフィックスだ。それ以降、コンパクトカーのA1からスポーツクーペのTT、果てはSUVのQ7まで、数多くのパフォーマンス4WDに与えられてきた。

今回のSモデルは、強力なRS Q8すら見劣りするほどのトルクを発揮し、この手のEVにはみられないようなモーターの使いかたをする。四輪独立モーター式のアシンメトリーなトルクベクタリングは、EVにとって、走りにうるさいドライバーを納得させるための切り札になるのは間違いない。

だが、今のところ、比較的安価な量販EVには採用例がない。実現しているのは、リマック・コンセプトワンやメルセデスAMG SLSエレクトリックドライブ、また登場が待たれるロータスエヴァイヤといった、超エキゾティックなスーパーEVのみだ。

e-トロン S クワトロの型破りな3モーターレイアウトは、その現状を変えるものだ。はたして、その走りはいかなるものだろうか。

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